第51話 2章 エピローグ
◆
他愛もない話をしていたら桜田高校に着いていた、櫻井所長とは「また会いましょう」と言って別れた、3人共パトカーから降りて由比ヶ浜先生達が待つ「F」クラスまで急いで行く事にした。
「急いで全て終わった事を伝えてあげないとね!」
「そうだな、慎二が主役なんだから先、教室入れよ?」
「僕達が先入ったら何かおかしいもんね、由比ヶ浜先生とも話あると思うし」
「別に誰が入ろうが変わんないと思うけど……」
3人共喋りながらだが急ぎ足で「F」クラスまで来た、扉の中から声が聞こえるから皆待ってくれてるいのが分かったので勢いよく教室の扉を開けたら……
『前田達無事生還おめでとう!!!』
と、大きな声で言われた。
慎二達はどう対応したら良いか分からなかったが、クラスメイトの顔を見て「本当に終わったんだな」と実感した。
その時、慎二達に向かって由比ヶ浜先生が近づいて来た。
「………前田君達…もう本当に全部……終わったんだよね?」
「はい、何もかも終わりましたよ、もう「田村亮二」はしっかりと捕まったので安心して下さい」
本当に良かった、何事も無く終わって。
「あり…がとう……本当にありがとうね、しっかりと約束を守ってくれた、貴方達を「信じて」良かった……その中でも前田君にはなんてお礼を言って良いか」
………なんか雲行きが悪くなって来たから、僕だけじゃ出来なかった事を伝えよう、そうしよう!
「別にお礼なんていいですよ、初めも言った通り僕が助けたくてやった事ですから、それに僕だけじゃ由比ヶ浜先生を守れなかった、ここにいる皆が手伝ってくれたから出来た事です!」
聞いてた皆は照れ臭そうにそっぽを向いていた。
「皆が頑張ってくれたのは私が1番分かっているの、それでも!……前田君が私の話を聞いてくれなかったらそのまま流されて今この場所にいなかったかもしれない、だから、だから……ありがとう「慎二君」!」
由比ヶ浜先生はそう言うと、感極まってしまったのか泣きながら慎二に抱きつき「キス」をしようとして来た…が……それを知っていた慎二はすんでのところで避けた。
「なんで避けるのよ!?」
「避けますよ普通!周りでクラスメイトが見てるんですよ?後で何されるかわからないじゃないですか!?それになんか下の名前で呼ばれてるし……」
初め「未来を見た」時にこうなる事はわかっていた。
だから後が怖いと思っていたが本当に由比ヶ浜先生が抱きついて来るとは思わなかった。
この状況どうしよう……さっきまで皆優しげな顔で僕達の事を見ていたのに、今なんて村上君達嫉妬組は変なローブを着出してるし……雄二達はニヤニヤしてて助けてくれそうに無いし……
そんな事を1人考えていたら由比ヶ浜先生が今までとは別人のような表情になって慎二に詰め寄って来た。
「私の思いを、気持ちを受け取ってよ慎二君!なんで、なんで受け取ってくれないの!こんなにも貴方の事を想っているのに!」
「待って下さい、由比ヶ浜先生!もしかしたらこの状況に流されているだけかもしれないので、少し冷静になりましょう!」
少しヒステリック気味になっているから冷静になってと言っても……
「私は冷静よ!それにこの気持ちは勘違いなんかじゃない!こんな気持ち初めてなの、別に今始まった事じゃなかった、慎二君に話を聞いてもらった時から心のドキドキが止まらなかったの……今ならこれが何かわかるわ、私は慎二君に恋をしていたのだと」
「‥‥‥‥」
なんてこった、今まで生きてきた中で告白なんてされた事ないからどう返事したら良いかわからないよ……でも何も返さないのは失礼だよね……
真正面から慎二を見つめてる由比ヶ浜先生に真剣な顔で向き合って伝えた。
「わかりました、その気持ち受け取ります、ですが!一回、一回でいいから落ち着いてもう一度考えてみて下さい、それからでも遅くない筈です……僕だって嬉しかったんです、今まで告白なんてされた事無かったので……考えた上でそれでも僕のことが「好き」だと言うならしっかりと考えさせて頂きます!」
自分の気持ちを伝えたら、少し落ち着きを取り戻してくれた。
「わかったよ、私こそいきなり抱きつこうとしてごめんね?……初めての事で舞い上がってたみたいなの、しっかりと考えてまた答えを出すね!」
「はい、ゆっくり考えてみて下さい!」
出来たら勘違いであって下さい!後から面倒臭いのは嫌なので!
そんな本音は心の中だけにしといた、周りの皆も何も起きないなら手を出さないとまた普通に話を聞く体制になっていた。
慎二はもう終わりかなと思っていたが、由比ヶ浜先生が最後に爆弾発言を落としてきた。
「そのね、慎二君私の気持ちはまた後日考えるとして、今回の事を両親に話したらどうしても私の両親が慎二君にお礼を言いたいみたいなの、丁度明日休みだし慎二君の予定が何も無いなら……どうかな?」
「どうかな」と言われても……でもお礼だけって言ってるし……それぐらいだったら良いかな?
「別に明日は暇なので大丈夫ですよ?何時に集合とか教えてくれれば行きますね」
無理に拒否すれば変な事になる可能性があると思った慎二は即返答を返した。
「ありがとう、慎二君!ちょっとここでは言い難いから後でスマホで連絡するね!……行かないって言ったら無理矢理にでも連れてくつもりだったけど………じゃあ本当にありがとうね!「部活の顧問」もしっかりと任せてね!」
そう言うと由比ヶ浜先生は周りにいたクラスメイトにもお礼を言い何かとても嬉しそうに教室から出て行ってしまった。
途中の言葉は小さくて聞こえなかっけど、また後で連絡してくれるみたいだから良かったよ、さて僕も帰るかな。
そう思い、やけに静かになっている教室の中後ろを振り向いたら何故か下を向いた吉野と悠木しかいなかった。
「ん?……皆僕を置いて帰っちゃったのか……薄情だなぁ、2人は帰らないの?明日休みだからといってあんまり遅くなると危ないから早く帰ったほうがいいよ?」
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
慎二は2人の事を心配してそう伝えたが、それでも反応が無かった為何かおかしいと思い2人の顔を下から見ようとしたら何か嫌な悪寒が体中を走った。
脳が危険信号を発したのか「その場から今すぐに逃げろ!」と言うように冷や汗が垂れてきた。
な、何さ?今回は僕は何もやってない筈だよ……でもこの悪寒を知ってる、一応この場から離れとこう。
「2人共、僕は帰るから遅くならない内に帰るんだよ!じゃあね!」
そう言って教室の出口まで走った筈なのに気付いたら教室の床に叩き付けられていた。
何が起こったのか分からなかったが、周りを見回して気付いた事が、吉野に背負い投げをされたという事だった。
直ぐにでも立ち上がり逃げようとしたら吉野に馬乗りにされて動けなくなってしまった。
「ちょ、ちょっと!どうしたのさ?何かあったの?話なら聞くからどいて欲しいんだけど……」
いや、本当にどうしたのさ……
「前田、教えて欲しい事があるの」
「………何を教えて欲しいの?僕のわかる事なら答えるけど……」
「アンタの顔を見ていると無性に腹が立つのよ……なんで?」
し、知るわけないだろ!?僕が聞きたいわ!?
「ごめん、それはちょっと分からないや」
正直に言ったのにどいてくれなかった。
どうしたら良いか考えていたら悠木も話かけてきた。
「私もなんです、前田君の顔を見たり他の女性と仲良くしてる姿を見ると殴りたくなって来るんです……殴って良いですか?」
駄目に決まってるでしょ!何処に「殴って良いですか?」と言われて「うん良いよ!」なんていう奴がいるのさ!?
「殴るのは駄目かなぁ?ほら2人共ちょっと落ち着こうか?話し合いが必要だと僕は思うんだ!」
「「嫌だ」」
なんでそこは2人一緒に答えるのさ!
「待って、待って!お願いこんな事理不尽だよ!ほらいつもの2人に戻ろう?えっ……なんで2人共雄二達に渡してたそのスプレーを持ってるのさ!?…ちょっ……それは顔にかけちゃ………ギャアーー!?」
止める間も無く2人にスプレーをかけられていつも通りボコボコにされると、教室に1人置き去りにされた。
「なんか、いつもこんな感じな気がするよ……ちゃんとした終わり方をしたいよ………」
皆は変なスプレーを人の顔にかけちゃ駄目だよ?マジで……
目がーーー!?
◆
今回は「過去と未来」を見る事で無事解決できた、でも今後「真実の目」の力だけではどうにもならない事が起きるかも知れない。
水でも砂でもなんでも良い、自分の両の手で掬い上げたものが自分が辿る「未来」としよう、逆にそこからこぼれ落ちてしまった物を「過去」とする。
「過去」はもう戻らない、だから足掻いて足掻いて少しでも多く「未来」を救う為、自分の信念を貫き皆の「ヒーロー」にそうあれるようこれからも奮闘する。
「未来」を見た回数:3回 残り27回
「過去」を見た回数:1回 残り29回
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