第33話 高校とバカとレクリエーションの終わり




「時間も終わり間近になりましたし早速優勝したチームにプレゼントをお渡しします、司会進行はまた生徒会書記の愛田がお送りします!」

「では「F」クラスの代表の方1名出て来て下さい、生徒会長からプレゼントが渡されます!」

「代表なんて1人しかいないよな?」


 雄二の言葉にクラスメートは頷き、慎二を見た。


「僕がいくの?こういうのはあまり好きじゃ無いんだよ〜誰か変わりに行ってよ〜」

「駄々を捏ねるな!どう見てもお前がMVPなんだから他の生徒が行ったらおかしいだろ!はやく行け!」


 他の皆にもそう言われてしまった為渋々生徒会長の元に向かった。


「生徒会長からプレゼントを頂く前にあなたの名前を教えて頂いてもよろしいですか?あれば「二つ名」も教えて頂けると助かります!」


 そんな事を言われたけど口が裂けても自分の不名誉な「二つ名」なんて言いたく無い。


「僕は1年「F」クラスの前田慎二です、ごめんなさい「二つ名」は持ってなくて」


 「F」クラスの馬鹿共からは「嘘つくなー」や「あるんだろー」と野次が飛んでくる。


 他人事だと思って……


「クラスメートの皆さんの言い方からするとやっぱり前田君は何か「二つ名」があるのですか?言いたく無いなら全然大丈夫ですが」

「ありがとうございます!ちょっと今回は聞いて欲しくないです、また機会があったらと言う事で!」


 今後も絶対言わないけどなぁ!はは、バカ共の悔しそうな顔が見えるよ!


「では、名前もわかりましたので今から生徒会長の綾杉会長から直接プレゼントが渡されます、少しお待ち下さい!」


 待ってると綾杉生徒会長が現れた、ただやっぱりずっとこっちを睨んで見てくる、何かやった覚えがやっぱりないな?


「あなたが前田君ね、今回は凄い活躍だったみたいね、そんなあなたに私からプレゼントを渡すわ、中を開けてみてくれる?」


 物を渡すときは特に睨んでこなかったな?生徒会長からは小さな木箱を貰った、かなり軽かったので何が入ってるか気になってた所に開けてくれと言われたので言葉の通りにしてみた、すると……「なんでも一つ願いを叶える券」という物が入っていた。


「えっと、これはどうすれば良いんですか?」

「書いてある通りよ、私があなたに「何でも」一つやってあげるわ、前田君が望む事なら何でも良いのよ?期限は無いから良く考えてから使ってね、別に今でも良いけど」


 生徒会長の話を聞いていた皆は慎二が何を聞くのか興味津々だった、特に男子生徒が。


 慎二には何を聞くかもう決まっていた、だって雄二達と決めてた事が早く解決するかもしれないから。


「じゃあ、僕から一つ今お願いしますね」

「い、今なのね、中々大胆ね……まあ聞いてあげるわ!さあ言ってご覧なさい!」


 ………?何でこんなに顔真っ赤にしてるんだろうか?それに大胆って何が?まあいっか。


「実は新しい「部活」を立ち上げようと思っていまして、生徒会長の承諾を欲しいのですが、今度貰っても良いですか?」

「は?」

「………え?」


 ドスの効いた声で返事を返されてしまった。


 おかしい、思っていた通りなら直ぐに貰えると思ったのに「部活」の承諾を欲しいって言ったら「目のハイライト」が消えていきなり無表情になったんだけど、ここからどうすれば良いの?


「………前田君、一つ聞いて良いかしら?」

「え、えぇ?何でも聞いて下さい」


 なんか怖くて今「いやだ」なんて言ったら何をやられるかわからないと思ったから何も考えずに返事しちゃったよ。


「私の事覚えてるわよね?忘れたなんて言わないよね?もしいったら……」


 いったらどうなるのさ!?そこで止めるのは辞めようよ怖いからさ!それよりも知らない本当に知らない、どうする?


「何?答えないってことは忘れたの?ほら怒らないから言ってみなさい?」


 絶対「嘘」じゃん!?これは「真実の目」使わなくてもわかるわ!でも怒らないって約束してくれたし……


「ごめんなさい!忘れたのか思い出せないです、こんなに美人なら忘れないと思うのに………ん?生徒会長?どうしました?」


 わからないと正直に伝えたら生徒会長がいきなり顔を真っ赤にして固まってしまった。


「美人…美人だって……へへ私が美人、前田君に言われたちゃった……」


 うわ、ぶつぶつ言ってて聞こえないし尚更怖くなって来たんだけど、もう退場しても良いかな?


 そう思い逃げようとした時、いきなり腕を握られた。


「ヒィー!?何、何ですか生徒会長!」

「良い事を考えたのよさっきのあなたの願い叶えてあげるわ、ただし私の事を思い出したらね!それまでは生徒会で「生徒会長の秘書」をしてもらう事にするわ!」


 するわ!じゃ無いわ!そんな面倒くさい事なら別に今承諾貰わなくても良いよ。


「そうそう、もうこれは変えられないから、生徒会長命令だからしっかりと聞いてね!それに明日から生徒会はあるから絶対来なさいよ!来なかったら放送で呼ぶから」


 退路が断たれただと!?思い出すだけなら「真実の目」で「過去」を見れば楽勝だと思うけどこんな事で消費はしたく無いな、、、自分で思い出して答え出すしか無いな。


「わかりましたよ、思い出すまで生徒会で働かせて頂きます」

「それで良いのよ!明日からよろしくね!」


 そのあと時間にもなりオリエンテーションは終わりを迎えた、生徒会長と知り合いなのかと質問攻めにあったり「異端審問官」に追い回されたりしたが、いつも通り時間は過ぎていった。


 変な事が重なり生徒会に入る事になったけどこれが良い出会いになるかもしれないし良いか、「人助」をしながら思い出すとでもしますか。

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