第31話 高校とバカとレクリエーションと①




「これから昨日と同じ新校舎の体育館でレクリエーションを行う、何をやるかはその時わかるだろう、皆遅れないように!特にそこにいる前田と木村!今度遅れたらどうなるか覚えておけよ!」


 そんな事を言い昨日同様教室を後にした。


「あのゴリラ、偉そうに言いやがって!」

「ああ、やっぱり皆ゴリラだと思っていたんだ、でもしょうがないんじゃない?昨日僕たちは出てないわけだし」


 昨日の事は完全に自分達が悪いと思うので今日は早めに体育館に集まる事にした。


 思えば体育館は行くのが初めてなので少し楽しみでもあった、体育館の中に入ったらその大きさに驚いた、思っていた倍大きかったのだ、それにちゃんと数えたわけでは無いが、1年生〜3年生までで1000人は軽くいる人数だった。


「こんなにこの学校生徒いたんだねー」

「まあマンモス校とか言われてるからな」


 そんな事を雄二達と話していたら違和感を覚えた、ほとんどの生徒が僕達「F」クラスを下げずんだ目で見ているような気がしたのだ、勿論好意的に見てくる人もいるが、多くの生徒が僕達を下に見てるような感じがした。


「やっぱりこの視線は嫌ね、たくっ、周りの連中は「自分の下」を見れてそんなに嬉しいみたいね」

「うん、やっぱりこの視線だけはちょっとやだな」


 吉野さんと悠木さんも思ってる事は一緒だった。


「気にしない方が良いよ?所詮その程度の連中なのさ、いつか自分達が下の存在に落とされるかも知れない恐怖があるから、今だけでもその気持ちを味わっていたい連中ばかりさ、今僕達を見て来てる連中は」


 そんな事を服部君は興味なさげに言った。


「うちはうち、よそはよそってやつだね、気にしないのが一番かも」


 視線に晒されながらも「F」クラスの待機場所まできた、初めからいた2年生と3年生は居心地悪そうにしていた。


 5分ぐらい経った時に体育館にある舞台に今回の司会進行役の生徒会が集まった今からレクリエーションが始まるみたいだ。


「今回の司会進行は私達生徒会が行います、私は生徒会長の綾杉麗華です!昨日も会いましたが皆さん今日も宜しくお願いします!ただ「昨日来なかった生徒」もいるみたいなので今日で全員揃いました」


 そんな話をしてレクリエーションで何をやるかが伝えられてるけど、なんかさっき生徒会長が「昨日来なかった生徒」って行った時こっち睨まなかった?気のせいかな?それにあの生徒会長何処かで会ったことあるんだよね、でも思い出せないな、あんなに「綺麗な銀色の髪の毛」の女性なんて。


「今からレクリエーションの内容を説明します、今回の内容は……私が所属する2年「A」クラス対1年「F」クラスの男子バスケの試合とします!」


 そんな事を言い出したのだ、僕は周りを見たが服部君ですら知らないと首を振る、他の人達も困惑していたが、生徒会長が言うならと納得し始めた。


「では今回の男子バスケのルール説明は生徒会書記の愛田小町が行います!」


 書記の小町がそう言った。


「えぇー、ルールは至ってシンプルに普通のバスケと同じルールです!ただ「バスケのルールがわからないよー」って方がいるかも知れないので少し今回のバスケ自体のルール説明をします!」


 書記の愛田が説明した内容はこうだ、


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      バスケのルール


・1チームは5人構成で交代は5人まで自分のクラスから出す事(別に交代はしなくても良い)


・今回は時間が限られている為第一Qと第二Q(どっちも10分間)しかやらない為間のインターバルは5分設ける事ハーフタイムはなし


・延長戦は無し(第二Qが終わった時点で試合終了)


・タイムは一回までで、チームメンバーは自分のクラスから決める事だ。


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「一応ルール説明はこんな感じでーす、特別に優勝したどちらかのチームはプレゼントがあるので楽しみにしていてねー」


 こんな感じでルール説明が終わった。


 慎二達「F」クラスは誰をメンバーにするか決めていた。


「僕と雄二は絶対出た方が良いと思うな、あんまりバスケはやった事ないけど今の説明でなんとなくわかったから大丈夫だと思う」

「俺も賛成だ、後はバスケの経験者とかがいれば良いんだがいるか?」

「木村君僕は中学の時バスケをやっていたから、普通の人よりは出来るよ?」


 と3人で話していたら、村上君が話して来た。


「前田達このバスケは俺達に任せてくれ!なんてったって俺達は昔奇跡の世代と言われたとか言われないとかした5人だからな!なぁお前ら!」


『ああ、任せてくれ!』

『この勝負貰ったな』

『この勝負、貰った!』


 村上の言葉に余裕の表情をしている男子達のクラスメートの4人がいた。


「いや、結局昔言われてたのかその説明じゃわからないんだけど……でも任せて良いの?無理そうだったら変わるからね?」

「ああ、それで良い、第一Qぐらいは点とって来てやるよ!」


 村上君達が自信満々にこう言うから任せる事にした。


「どちらもメンバーは決まりましたか?決まったようなら早速バスケを始めたいと思います!まず2年「A」クラスからメンバー紹介です!」


 ええ、メンバー紹介なんてあるんだ。


「まずはこの2人、

・福田空君と福田海君の双子ペア「二つ名は双子の悪魔」

・新田翔「二つ名は2年「A」クラスの貴公子」

・山田照久君「二つ名無し」

・相川友成君「二つ名は無し」

 の計5人となります!」


 恥ずかしい!それに「二つ名」とかやっぱりダセェー、出たくないんだけど。


「次に1年「F」クラスからです!

・村上正吾君その、「ふ、二つ名はペロリスト」

・宮ノ内康太君「二つ名はチーター」

・宮田光君「二つ名は無し」

・加藤直斗君「二つ名は無し」

・多田直樹君「二つ名は無し」

 の計5名となります!」


 村上君の時だけ会計の人恥ずかしがってるじゃん、女子に言わせる言葉じゃないよ、、そんな村上君は女子に「ペロリスト」って言われたからか喜んでるし。


「両チーム集まって下さい!只今より2年「A」クラスと1年「F」クラスのバスケの試合を始めます!」


「試合開始!」


 審判の男性の先生から掛け声が上がり試合が始まった、今回は1年生の方が不利だと思われ先に攻めることが許された。


 うちのクラスから早速加藤君からパスを貰った宮田君がスリーシュートの構えをとり投げた、宮田君はそのボールがもうゴールにでも入ってると確信しているように後ろを向きながら自陣まで歩き出した。


 バスケットボールは緩やかな曲線を描き、描き…ゴールより手前に落ちた……


 その時に宮田は………


「……まだまだだね」  


 何事もなかったかのようにそんな事を一人呟く。


 ただ、観ていて、聞いていた皆は。



『いや、お前がな!?』


 体育館にいた生徒が全員ツッコんだ。


 そこは普通入るでしょ!?何がドヤ顔で「まだまだだね」だ!君が「まだまだだ」だよ!


 そんなふざけたようなプレイがあったが、選手交代で2年の福田先輩達の連携プレイで2点取られてしまった、その後も自陣のゴールを守りながらの戦いだったが、ついには相手に計6点入れられてしまった。


 第一Qが残り3分となった時、今まであまり動いていない男が動いた、その男こそ「チーターの二つ名」を持つ男、宮ノ内だ。

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