第30話 高校とバカと異端者と



 早めに起きた為、自分のクラスに行ったら、朝もまだ早いのに「F」クラスのほとんどの生徒が来ていた、その中には雄二もいたが何故か「異端審問」と書かれた黒いローブを着込んだ人達に体をロープで巻かれた状態で正座させられていた。


 朝の挨拶をしたかった慎二だがその状況を見て何も言えなくなってしまった。


 教室の扉の前で驚いて動けなくなっていた慎二を見つけた「異端審官長」と書かれたフードを被った人物が慎二に近づき話しかけてきた。


「やっと来たか前田。いや、俺達非モテの救世主よ!ここに正座されている木村雄二はやってはいけない事をしてしまった、それは何だと思う?」


 そんな事を「異端審問官長」と書かれたフードを被っている人物に言われたが完全に村上君の声だった、非モテと言われたがその通りなので何も言えない。


「えっと、村上君だよね?朝から何やってるのさ」

「村上などでは無い!それもこの状況を見てわからないのか!」


 いや、全然わからないけど!?逆に分かる人いるの?こんなカオスな状況。


「まあ良い、間抜けなお前にも分かりやすく教えてやろう!木村は今日学校まで「女子生徒」と登校しやがったのだ!」


 その時、慎二の体に電気が流れたように感じた、「女子生徒」と登校した雄二は禁忌に手を出したのだ。


「なん…だと……そんな男問答無用に粛清だ!」


 やってはいけない事をしてしまったのだ雄二は。


「流石前田、わかる男だな」


 そう言われ「異端審問官長」に慎二は「異端審問副会長」と書かれているローブを貰い着ると雄二に向き合った。


「テメェ慎二!俺を助けろよ!?」

「慎二?誰だそのバカは?私は「異端審問副会長」だ!お前は粛清される事をしてしまったんだよ!」


 雄二の話を聞く耳を持っていなかった。


「こいつ、自分の事をバカって認めやがった!?……こうなったら………「異端審問官長」俺に、発言の許可を!」

「むぅ、普段は聞かないが今は気持ちが良い、罪人木村言うが良い!」


 慎二は思っていた「何を言うのか」と、今更何を言っても雄二は裁きを受けるだけだ。


「そこの「異端審問副会長」とか言うバカは昨日悠木と吉野と楽しげに話してたぞ!後、木之下と!お前らも見てただろ!」


 そう、雄二は1人だけ裁きを受けるだけの人間では無い、やれるんだったら他の人間も道連れにする男だ。


「なっ!?貴様雄二、僕を嵌めるのか!?なんて奴だ!それに由紀は「男」だ!」


 そう、勘違いしてはいけない由紀は女の子に見えるほど可愛いが歴とした「男」だ。


「よくそんな事言えるな!さっきまでの自分の言葉を思い出してみろ!」


 喧嘩をしだした2人だが、「静粛に!」と言う「異端審問官長」の言葉で話すのを辞めた。


「……私は残念だよ「異端審問副会長」いや前田慎二、貴様は我らの仲間では無く裏切り者だったのか!皆の物、前田も取り押さえろ!2人共纏めて粛清だ!」


 その声で周りにいた「異端審問官」達は『おおー!粛清!粛清!』と言って慎二達に近づいて来た。


「どうするのさこの状況!?雄二なんとかしてよ!君が「女子生徒」と登校するからこうなるんでしょ!」

「だから、違うって言ってるだろ!登校していたら物を落としてたから拾って渡しただけだ!高校が一緒なんだから道も一緒だしわざわざ違う道通る事ないだろ!それにお前だって俺を売っただろ!」


 目の前に危機が迫ってるのにこの2人は罪のなすりつけ合いをしていた。


「本当に男って馬鹿ばかりね!」


 そんな事を言う美波は慎二達を汚い物でも見る目で見ていた。


「あはははは……」


 流石の悠木も何も言えないらしい。


 そんな時教室の扉が勢いよく開き剛田先生が入って来た。


「何をやっている貴様ら!廊下まで聞こえてるぞ!高校生にもなってバカな事をするな!早く席に着け!」


 そう言われてしまって他の生徒は渋々自分の机に戻って行った。


 慎二と雄二は助かったと思ったが、さっきまで自分達を囲んでいたクラスメートが席につく時に「後で覚えておけよ」や「逃げられると思うな」と言い横を通って行った、まだ終わらないらしい。

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