第3話 嘘か本当か 過去とこれから①



 皆は、異世界転移か異世界転生どっちでも良いから異世界に一度は行ってみたいと思った事はあるだろうか?僕は勿論ある。ハーレムいいよね!ファンタジー世界も憧れでもあるからね……だが、その世界で生きていけるかはまた別の問題だ。何でこんな話をするかって?こんな話もしたくなるさ、だって今目の前で僕○にかけてるからね!


「この、変態がー!」

「グベッーー!」


 理不尽な世界はあると思う。僕は一度体験したからね、ある日、自分の事を神と名乗る全身白タイツの男が目の前に現れるとしよう、その男から「過去に行ってやり直さないか?」と言われたらどうする?勿論この回答は人それぞれ分かれると思うが僕は、やり直したいと思った。


 今までの人生は変な体質のせいで散々だったからね。ただ、こんな話でも中々理不尽なのにさ……「過去に来たー!」っと思った瞬間目の前にいた少女が自分目掛けて右ストレートを打ってくるんだぜ?後ろに3メートルは吹っ飛んだよ………きっとあの右手は絶対世界狙えるぞ!と、こんな事が今あった。


 理不尽酷過ぎだよね?


 慎二がこの世の理不尽について嘆いていると慎二の顔面を殴った少女が顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。


「いきなり、いきなりあんな事言ってきて……アンタバカなんじゃないの!?」


 ほらね?これが理不尽っと言わなくて何というのか、状況が分からないからこの少女に聞くか。


「いや、ごめん。全く状況が理解できなくてさ、僕君に何かしましたっけ?全く記憶に無くてさ?出来れば何故怒っているのか教えて欲しいのだけど?」


 どんな言葉が返ってくるか気になるな。


「忘れた、ですって!?アンタがいきなり話しかけてきたと思ったら……「む、胸を揉ましてくれないかい?」って言いながら近づいてきたんじゃない!?今さっきの出来事でしょ!?」

「えぇ!?」

「何、驚いてるのよ!?」


 いや、驚くよ!それもアウト寄りのアウトだよ!あれか?いきなり見知らぬ女性に声をかけた僕は「胸を揉ましてくれないかい?」って言ったの?……完全に変態かキチガイじゃないか!?目の前にいる少女は外見は美人で胸も大きいが……流石に過去の僕、これはないぞ、セクハラで訴えられても何も言えない。


 過去に戻る前の自分がしでかしたことに頭を抱えたかったが、今は目の前で怒っている少女に謝るのが先決だと思い。


「ご、ごめん!そんな事が、本当に覚えてなくてどうか謝るから許してくれないか?なんなら何か言うこと一つ聞くからさ!」

「………本当に覚えてないのね?いやでも、もしかしたらさっきの一撃で記憶が飛んでる、とか……?」


 お?何か許してくれそうな流れなのかな?最後の方はブツブツと言っていてちゃんと聞き取れなかったけど。


「まあ……覚えてないならしょうがないわね。ただアンタ今何でも言うこと聞くって言ったわよね?何してもらおうかしら?………奴隷とか?」

「ちょ、待て待て!何でもは言ってないだろ!出来るだけ常識な範囲の事にしてよ!それに奴隷は冗談……だよね?」


 そんな事を聞くと少女は悪い笑顔でこっちを見ていた、そして少女が口を開きかけたその時、運良く?運悪く?少女の電話の着信が鳴った。


 少女は携帯を取り出して中を見た後、少女はとても慌てた表情をすると伝えてきた。


「あっ、ヤバイ!もうこんな時間なの!?ちょっとアンタ!今度会った時覚えてなさいよ!?」


 と言い、急ぎ足で慎二の言葉など聞かず何処かへ行ってしまった。


 その様子を何も言えず見ていることしか慎二には出来なかった。


「……助かった…のか?いやあの子ヤバイでしょ?奴隷とか言ってたし、あのまま電話が来てなかったらどうなっていたか………いや待てよ?よく考えてみたら美人の少女の奴隷とか……最高なのでは?」


 と、変な方向にいきかけていたが、自分が神の端くれと名乗る男に過去に送られてから今の現状を何も確認していなかった事に気づいた。


「まずはちゃんと過去に飛べてるかだよね?「違う世界に飛ばされていましたー」……なんて事があったら流石に笑えないよ………ここにいても何もわからないしさっきの少女が引き返してきても困るから一度家に戻るか」


 自分も急ぎ足でその場から離れる事を決めた。歩いている途中携帯を持っている事に気付いた為確認したら、今は2021年4月1日と分かった。


 約10年後の過去という事がわかる。神の端くれとの約束通りだと既に高校に受かってるとしたら始業式がある4月9日から学校が始まる事になる。それまでに色々調べとかないとなと考えながら歩いていたら、家に着いた。


「懐かしいなぁ、この家僕が社会人になった時に引っ越しちゃったんだよな、道も、覚えているものだな」


 懐かしげに慎二は語っている。それもそのはず、この家は祖父との思い出が詰まった場所なのだ。


 「負幸体質」のせいか友達はおろか家族すらも誰も慎二の話を聞かず、信じず一人、また1人と慎二の元から離れていってしまった。ただ、1人祖父の前田義慈だけは慎二の事を理解し義慈が、自分が亡くなるまで一緒に側にいてくれた存在なのだ。


「ははっ、扉開けたらヒョッコリと顔出したりな………そんなはず無いか、神様だって言ってたもんな……未来は変えられても過去は変えられない、と」


 そう、神と別れる時最後に一つだけ聞いていたのである。「過去と未来は変えられるのか」と、その時帰ってきた言葉は「未来は変えられても過去は決して変えられない」と言う事だった。


 その事実を聞いた慎二は苦虫を噛んだ様な表情を浮かべていた。が、「それはそうか」と思うことしかできなかった。


「………人に委ねるな、自分が信じた道を進みなさい。人は1人では生きられない、だから自分が心から信じられる人を見つけなさい……か」


 それは祖父義慈に亡くなる際に言われた言葉だった。本当に色々と教わった、今自分が生きているのもあの時……中学2年生の時に祖父と会えたからといっても間違えではないと言える。


 一つ沢山の人達を幸せにしてくれという約束だけは守れなかったが、今度は間違えない。


「っし!、くよくよしてないで前に進もう」


 そう、自分を鼓舞すると鍵を取り出して家に入り神と約束していた桜田高校入学の為に必要な制服等が置いてあるのを確認した。もう今日は疲れていた為、明日神の端くれから貰った慎二だけの特別な力と言うものを確認しよう。


 わかりやすく神から慎二へという手紙もあった。

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