第四話 魔法習得できました!


 皆さま、お久しぶりです。

 僕ことレイフィルドです。

 あれから暇な時間はずっと色々な呼吸法を試し続けています。なにせ赤子は暇です。寝るか泣くかミルクを飲むかしかやることがありません。

 そしてあっという間に、僕が孤児院に預けられてから三ヶ月が経ちました。

 たった数ヶ月で魔法が使えるようになるなどと、そんなうまい話があるわけ──ありました。



 ●△◽️



 二ヶ月程あらゆる呼吸を繰り返してきたが、一向に成果が上がらない現状にほんの少し、そう本当に少しだけイラッときていた。僕は心を落ち着かせるために現代知識をいかして瞑想を試していた。息を吸って──吐いて──

 空気が鼻を通り肺におりて、血中を酸素が駆け巡り、また吐き出す循環をイメージする。

 呼吸に意識を向けて、他のことに意識が向いたら、静かに呼吸に意識を戻す。


 あらゆる呼吸法とは別に瞑想をするようになって一週間──

 ストレスや不安軽減を目的とした瞑想であったが、続けるうちに身体のある変化に気づいた。

 へその下──丹田たんでんあたりに熱を感じるようになったのだ。

 瞑想を続けながら自分の身体の奥底に意識を向けていくと、その熱が動かせることがわかってきた。


 その熱が魔力ではないかとアタリをつける。その頃から、呼吸法を瞑想一本に切り替えた。呼吸の方法ではなく、呼吸にただ集中する。丹田の熱を身体に行き渡るように循環させていく。始めはほんの少ししか動かすこともできなかったが、今ではギュンギュンと勢いよく循環させることができる。


 循環させている間は、なんとっちができ、歩くことはおろか走ることや跳ぶことすら可能なのだ。首がすわったばかりの──生後半年に満たない赤子がきゃっきゃっと走りまわる。


 これが武技魔法なのだろう。

 身体能力の超人化。

 赤子の時点でこれだけの効果があるのだ。成人男性が武技魔法を極めれば、ドラゴンボ○ルの登場人物──とまではいかないが北斗○拳くらいはできるようになりそうだ。

 これの難点はすぐ疲れてしまうことだ。今日も電池が切れたようにパタリと倒れて寝てしまった。

 少しは生きる望みが湧いてきた今日この頃。

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