第三話 魔法を習得しよう


 なんやかんやあり急死に一生を得られました。

 僕です。

 なんと意識を失ったあと、ある老師に助けられて、孤児院まで連れてこられたようです。

 高熱により身罷りかけましたが、老師による不可思議な力で助けられました。

 捨てる神あれば拾う神ありです。



 ●△◽️



 孤児院に拾われてから名前を授かりました。 

 レイフィルドです。

 気軽にレイフィーと呼んでください。


 そんなこんなで孤児院生活です。

 生活レベルは、意外なことにそれなり高いです。転移者であるあの双子──第四始祖の恩恵でしょう。時計もあるし、送風機もどきもあれば、冷蔵庫もどきもあるし、ガスコンロもどきもある。なんと上下水道まであるのだ。トイレも水洗。さすが綺麗好きの日本人が転移者、わかってるねぇ。


 昔はもっと暮らしやすかったが、大罪人が魔造炉を破壊したうえシステム改変したせいで魔石価格が高騰、経済成長を阻害しているらしい。


 孤児院の運営者は善良なので、生き残る目が出てきた。

 人生の最終目標は大往生。

 目下の目標は生き残るために強くなること。

 そのためには魔法を習得するのが手っ取り早い。というか魔法を使えないなど、銃社会の中で素手でいるようなものだ。

 神の独り言を思い出しながら、習得魔法を考える。


 第一魔法──攻撃魔法。

 憧れるが、貴族の血統しか扱えない。生まれたての記憶を遡っても両親は貴族ではなかった。残念。


 第二魔法──回復魔法。

 教会に属し、祈りを捧げることにより、魔力を得て回復魔法を行使できるが──

 あの神に崇め奉るなどごめんこうむる。

 そうなると残るは──


 第三魔法──武技魔法。

 武芸者に伝わる呼吸法を習得することによって扱うことができる。

 空気中の魔力を取り込んで超人のような身体能力を行使することができる。


 問題は──

 どんな呼吸法だ?

 武芸者に弟子入りする年齢まで悠長に待つことなどできないぞ。

 とりあえず試行錯誤だ。

 腹式呼吸

 胸式呼吸

 片鼻呼吸

 ウジャイ呼吸

 カパラバティ

 果てはラマーズ法まで試した。

 でも自分の中で何も変化はない。

 まあ、当たり前だ。

 そんな簡単に習得できるのなら、この世は魔法使いで溢れているはず。

 どうせ赤子のうちはできることはないのだ。

 様々な呼吸を続けるようにしよう。無駄かもしれないが、実を結ぶかもしれない。

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