第9章 ロリ参戦!

プロローグ まさかの転生

東京 赤坂にある料亭


 黒スーツに水色のワイシャツ姿の水希桜夜は黒い車から降り、その料亭を見上げてため息を吐いた。彼はこういった場での会合や食事はあまり好きではなかった。一通りのマナーの嗜みはあるものの、気を使い、騙しあいながら食う飯はまずいからだ。

 しかし行かないわけにもいかない。今回桜夜を呼び出したのは四方院家宗主である四方院玄武と、前相談役の鷹司公なのだ。


(また無理難題を押し付けられなきゃいいけど……)


 女将の案内で部屋に向かいながらそう思う。わざわざ場を改めてとなると、相当な厄介事に違いない。


「こちらです」


 開けられたふすまをから室内に入ると、陽気な声で作務衣姿の玄武が声をかけてきた。


「おお、桜夜。遅かったな。ほれ、飲め!」


とっくりを向ける玄武に従い、下座に座った桜夜はおちょこを手に取る。


「遅くなってしまい申し訳ございません。宗主様、鷹司公」


「よいよい、今日は祝いの席じゃ!」


 玄武がおちょこに酒を注ぐ。桜夜は「頂戴いたします」と断ってからそれを飲み干した。口の中に広がる華やかな風味、喉越しの良い辛口の酒は、間違いなく高級品だと桜夜は確信した。桜夜はおちょこをテーブルに置くと、玄武に尋ねた。


「それで、今日は何のお祝いなのでしょうか?」


「青龍の家の嫡男の嫁さんが妊娠したのは知ってるの?」


「それはもちろん。先日お祝いにも行きましたし」


 そういえばあのとき一さんの様子がおかしかったような、なんて桜夜が思い出していると、玄武が口を開く。


「あやつらの“娘”お主の想い人じゃぞ」


「は?」


 何か食べようと桜夜が取った箸が、テーブルへと転がり落ちた。


to be continued

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