第二話

急いで走って逃げる。

後ろからは濁ったうめき声が耳をふさぎたいほど聞こえる。

「とりあえず屋上に逃げよう!」先頭にいる人が叫び流れるように集団の進路が変更される。

(確かに屋上には鍵がかかるのが定番だよな)

冷めた視点でふと思う。

急いでドアをくぐり必死にドアを閉めてなぜか外から鍵をかけられるようになっている鍵を閉める。

どんどんと叩かれるが開けられはしないようで屋上から周りを見渡す。

バイオハザードの映画で見るかのごとく荒廃している町はこの世の終わりかのようだ。

次の逃げ場はどこがあるかと探せば梯子と渡り廊下の屋上伝いに逃げられそうな場所がある。

(こっちに行くかー)

一人で集団から抜け出してそちらに行く。

なんせここにいても状況は変わらないだろうから。

別の棟の屋上から鍵を開けて中に入る。

こっちの棟にはヤツラがいないようで物静かだ。

降りてすぐの音楽室に入る。

ここには吹奏楽部の私物がかなり置いてあるという話を聞いたがない。

(じゃあ音楽準備室かな)

そんなことを思いながら音楽準備室のドアを開ける。

すると屋上側からバタバタと音がする。

「skbgfdくshふぉいえゎひfylがw」

人の声といっしょに変な声もする。

背筋が凍る。

急いで逃げてきた人たちの間に合う人を中に入れ、ナニカと一緒に入ろうとした人たちには悪いがドアを閉めて鍵をかけた。

ドンドンと叩く音と嗚咽じみた声が聞こえるがこの際割り切る。

(もう数人しか残ってないか)

部屋のロッカーや地べたに置かれたバックを物色する。

ロッカーは着替えや楽器の手入れ道具。

部員がおいているという私物のバックの中身を確認すると大量のお菓子や飲料水があった。

(予想通り)

自分の考えが間違っていないことに笑いながら今渡せるくらいの量をみんなに渡していく。

そうやっているとふと思うことがあり立ち上がる。

(あ、そっか。なんかおかしいと思ったんだよ)

途端に胸に安堵が広がり笑みを浮かべてしまう。

無造作にドアに近づきカチャという音と共に全開にする。

飛びついてくる彼らの顔を間近で見ながら目をつむる。





ベッドから降りてあくびを一つ。

カーテンを開けて良い天気だとニコニコで頷く。

「さて、学校行きますか」

今日も収容施設に行くのだ。

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