第11話幸子、友達とランチする

明の育児が少し落ち着いたので幸子は、友達の栄子とランチに来ている。店は、どこにでもある喫茶店だ。「なんか、あんたやつれたわねえ。」栄子が幸子に心配そうに言う。「いろいろ大変でさあ。」幸子がちょっと驚いて答える。「えー大変なんだあ」栄子も少し驚いている。「子供の左腕に障害があるんだ。」幸子がいきなり明の障害について栄子に切り出した。「治るの?」栄子がストレートに聞く。「前の病院の主治医には、治らない、動かないって言われたけど明の左腕は、動いたからね、治ると確信している。」幸子がマシンガンのように早口で栄子に言葉をぶつける。「医者が治らないって言ってるんだったら、完治しないんじゃない?」幸子が驚いている。「スポーツ選手になれないし、会社員も厳しいよね。」栄子がスパッと幸子に言う。「治る!!!」幸子がむきになって栄子に言い返す。「私が言いたいのは、子供の頃からサポートが必要だってこと。」栄子が続ける。「障害児の将来のためにお金を残さないといけないし、障害児の学校生活をサポートする必要があると思うの。」「サポートなんか必要ない!!!!!」幸子が怒りをあらわにする。「帰る!!!!!!」幸子が喫茶店の代金を置いて店を出た。幸子の目から涙が止まらない。自宅に着いた幸子が留守番していた照之と明を見てまた号泣する。「どうした幸子?」明は、部屋で寝ている。「さっき、明が寝たんだ。何かあったのか?」照之が心配そうに聞く。「友達の栄子に余計なことを言われたの!!!!明の左腕が完治しないんじゃないとか。それで、何故か涙が止まらないの。」「お前の友達は、余計なことを言うなあ。」照之が幸子に同意する。「完治するに決まってるだろ!!!」「完治するに決まってるわ!!!」「わははははは!!!!」「ふふふふふふ!!!!」幸子と照之には、栄子からのアドバイスは、伝わらないようだ。

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分娩麻痺障害者の狂気の人生 玉蜀黍 @destrog

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