第4話家族3人で死のうかな

幸子が入院している病室に幸子と照之と分娩麻痺を負った赤ちゃんがいる。照之が疲れた顔の目元を擦りながら我が子の左腕を見る。何度見ても障害のない右腕と比べると分娩麻痺の左腕は、不自然に曲がっている。主治医の言う通り治らないのかもしれないな。照之は、心の中で呟いた。幸子は、自分を攻め続けていた。どうしてこの子を五体満足に産んであげられなかったの!!どうしてあんなヤブ医者のいる病院を選んでしまったの!?3人で死ぬか?突然、照之が幸子に自殺するか聞いてきた。幸子は、苦しそうに笑って死にましょうと答えた。二人は、どうやって3人で死ぬか興奮した様子で話し合う。気付いたら二人は泣いていた。悲しい死にたいと言う度に涙が頬を伝う二人の涙が自殺のおまじないのように見える。幸子と照之がお前も死にたいだろうと赤ちゃんを見る。そんな中、幸子が急にこの子の左腕は、治る可能性があるかもしれないと照之に言った。幸子は、自殺するのが怖い。幸子は、自殺する時の苦しみや痛みを体感したくなかった。同じく自殺するのが怖い照之も自殺するんじゃなかったのかと幸子に言いながらも心の中では、自殺する時の苦しみや痛みを体感しなくてすむと思っていた。真面目な顔をして照之は、帰りにラーメンでも食べるわと幸子に言った。照之の心を読んだ幸子がラーメン美味しいわねと照之に言った。結局、幸子と照之は、自殺せずに生きていく事を決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る