第3話:一緒に下校する

 ある日の放課後。

 今日も僕達は図書館で勉強する。

 隣にいるのは恋人の#絹澤きぬさわ海華うみか先輩。

 知的で上品な顔立ち。肩まで掛かった栗色セミロングの髪。声優のように綺麗な声。何もかもが美しい。


「……あの、市島いちしま君……」

「はい、何でしょうか絹澤きぬさわ先輩」


 勉強をする様子をずっと眺めていたら。

 恥ずかしそうにした絹澤先輩が呆れた顔でこう言った。


「アナタも飽きないわね。毎回毎回私の顔、じーーっと見て」

「はい、先輩の顔、とっても綺麗なので」

「……っ。あっそ。分かりましたっ」

「恥ずかしがる先輩も可愛いです」

「……馬鹿っ」


 遂にはぷいぷいっと顔を背けられる僕である。やっぱり先輩可愛い過ぎる……。


 そんなこんなで甘々な放課後ライフを過ごし。そして僕達は下校する。もちろん一緒にだ。夕暮れ空の下、僕達は通学路を歩く。


「先輩は好きな食べ物なんですか」

「急になんですか……」

「いやー、先輩のこともっと知りたいなって思って。ちなみに僕はカレーです」

「……そう」


 何か考えている様子の絹澤先輩。

 僕がニコニコ笑って先輩の言葉を待っていると。はぁ……とため息つをつき、諦めたような顔になって。こう言った。


「いちご……とかですかね」

「可愛い」

「はぁ……? なんですか、それ……」

「僕もいちご好きですよ。甘酸っぱくていいですよねー」

「……ええ、まあ」

「今度いちご食べに行きましょう。いちごパフェとか、いちごアイスとか、あとはいちごカレーとか」

「パフェやアイスは分かりますけど……カレーはちょっと」

「えー? でも合いそうですけどね。てか、一緒に食べに行くのはおーけーなんですね」

「っ……別に」

「先輩、大好きですよ」

「あーっ……馬鹿馬鹿……ほんっっと馬鹿……」


 絹澤先輩は顔を真っ赤にさせて。

 桜色の唇をきゅっと噛み。

 可愛らしい暴言を吐くのだった。

 今日も絹澤先輩は可愛い。

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