第4話 ヒロイン達
『想定外な恋の連続ッ!!』
これがこのゲームのキャッチフレーズだ。
いやいや、想定外すぎるって。
流石に笑えない。
イレギュラーすぎる。
推しだけの攻略じゃこの世界に介入出来ないんだろうな。
悲しす。
まぁ、あれだ今は推しを探しに誠也と学校を徘徊しています。
いぇあ。
***********
「…見つからんなぁ」
「今日いないとか?」
「可能性としては全然あるね」
かれこれ昼休みの半分以上探している。
影すらないとは、休んでる以外考えられないのだが。
「なぁ、もう教室に帰ろうぜ」
「だな」
そういって俺達は踵を返そうとした。
その一瞬、たった一瞬。
白いアホ毛ぴょこぴょこ動いていた。
俺は神速と言っても過言じゃないスピードで、振り返った。
間違いない。
俺の玲奈ちゅわん。
んんん、ぎゃわいいいい!!!!
遠目から見ても分かる可愛さ。
その横にはツインテールが動いてる。
てか、振り返るので首を痛めた。
横の誠也も、眼をかっぴらいて首に手をあてている。
「お、おい」
「ぐへへ、分かってるって…」
「「しゃべりに行こう…」」
俺達はダッシュで近づく。
話しかけようとした。
そうしようとしたのだ。
「あ!新ぁ!!」
「新君…!!」
俺達の嫁(仮)はクソ野郎の方へ行った。
俺達は、唖然と共に絶望した。
ここで奴が来るのかと。
神は俺達に会話すらさせてくれないのかと。
恨んだ、ただただ世界を、神を恨んだ。
俺達はもう一度現実に目を当てる。
ヴァンパイアが真正面から太陽の光を受けるぐらいの絶望。
そんな絶望があると知らずにあのゴミ屑クソ野郎は、迷惑そうに俺達の嫁(仮)を迷惑そうにあしらっている。
そこに芽生えた感情は紛れもない殺意だ。
「俺はよぉ、中学のころ柔道やってたんだよぉ…!!」
「俺もよぉ、極真空手を3歳から4歳の誕生日までやってたんだよぉ…!」
そうだった、確かにこいつも極真をやってたんだ。
あれ?でも短ったような…
「…あれ、二か月くらいでやめたよな?」
「お前も柔道部仮入部だろ?」
「…まぁね…痛いところ突くね」
まぁ何が言いたいかって?
クソ雑魚ってことだよ。
俺達はその夜枕をビショビショに濡らした。
*********
というわけで次の日の学校ですが。
今日からヒロイン達に積極的に話していこうかと思います。
主人公よ邪魔しないでくれよ。
邪魔したら〇す。
まずは、見つけるところから。
と、思ったが案外目立つもので見つけることは簡単だった。
しかしここから苦難の連続。
転ぶ、水をかけられる、階段から落ちそうになる。
まるで彼女たちの周りには俺達を寄せ付けない何かがあるのだろう。
シナリオのとおりにしか進まないという因果関係が働き、俺達の介入が阻害される。
そう、普段のシナリオなら…!!
俺達は走る。
俺達は知っている、そして俺達こそがそうだ。
この世界の『
謎の美少女転校生の花宮のどか。
俺達はさっきの昼休みにそういう結論になった。
俺は思いっきり教室のドアを開けた。
クラスのみんなが俺達の方を見る。
「あ、あの…!花宮さん、力を貸してくれ!!!」
鋭い瞳が俺達を刺す。
痛い痛い……痛いよぉ…その眼痛いよぉ。
「……えっと、何に?」
「…ここじゃ話せない、いや信じない」
「……それはこの世界の話?」
そうだ、という意味で俺は頷いた。
解釈は多分あってる…よね?
てか言い方カッコよくね?
「そうだ」
「そう…貴方たちもこの世界に来たの?」
やっぱりか。
こいつも転生してきた奴だ。
「俺達だ」
しばらく俺達を見て、口を開けた。
「分かった…今日の放課後、この喫茶店に来て…私も協力者が必要なの」
紙に喫茶店の名前と住所を書いて渡してきた。
ん?見覚えがある喫茶店だ。
「あれ?ここ俺の店じゃん」
「あら、そうだったの?」
「だから見覚えがあったのか…納得」
確かにそうだった、こいつの家は喫茶店だった。
ここのナポリタンがめちゃ旨い。
「ありがとう花宮さん…後俺達は誇り高き帰宅部だから一緒に行かない?」
「いいわよ」
「じゃ、そういうことで」
まずは一歩だ、確実な一歩を歩んでいる自信がある。
この調子で進もう。
まだこのゲームは始まったばかりだからな。
そういえばセーブ有ったら便利だよな。
まぁないけどね。
主人公の邪魔をするッ!!! 秋爪熊太郎 @0mens
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