1章 恋愛ゲームの世界

第2話 新しい世界

 痛い。

 痛い?

 死んだのに?

 

 思いっきり起き上がるが体の痛みもない。

 体をパタパタ調べたりしていると。

 隣で、むくっと起き上がる影が見えた。


「お前、生きてたのか?」


「え…お前こそ?」


「「えぇぇ??」」


 俺達は、向かい合って首を傾げる。

 というかここら辺の景色には見覚えがある。


「なぁ、ここって地元か?」


「ぽいけど…マジラブの雨晴町に似てないか?」


「……確かに」

 

 標識などが微妙に違うし、店の名前も何かと違う。

 例えばあそこのパン屋、本当は蕎麦屋だった。

 マジラブではあそこは蕎麦屋で、主人公が部活帰りに親友の山出康太と飯を食う場所で有名だ。


「くっそ、どうなってる……ほんとに、ここどこだ?」


「取り敢えず、散策しよう」


 そうして俺達は見慣れた、でも少し違ういつもの街を歩くことにした。



***********



「すっげぇ、地元のまんまだよ!」


 もう慣れたのか誠也ははしゃいでる。

 俺も落ち着いてきたが、まだ分からないことも多い。


「誠也、うるさい」


 さっきから気になるのは、他の人達の目の前にある半透明の文字が書いた板の様な物。

 俺の厨二病にまた火が付きそうだ。


「来い!」


 出ない。

 は、恥ずかしいぃ!!


「お前、頭大丈夫か?」


 真剣な表情で聞かれた。

 やめてくれ、頼むからそんな目で見ないでくれ。


「うっせぇ、出せ!」


 なんか馬鹿にされて腹立つし出ない。


「ステータス!」

 出た。

 出た??

 出た!!!


「かっけぇぇぇ!!」


「何それ!!??ステータス!!!」


 誠也もを開けた。


 そこにはこう書いてあった。

―――――――――

名前 鳴神蓮司

身長 176cm

体重 79㎏

職業 高校2年生


概要 あなたはマンホールの爆発事件に巻き込まれて死亡、そしてこの世界に転生した。この世界は、『マジラブッ!!』の世界です。しかしご安心ください、家族、友人、街、学校、などは全て元の世界を再現しました。

※この世界の主人公はあなたではありません、あなたはモブの一人です。

※この世界はあなた方がクリアしたどのルートにも属しません、もしこのルートをクリアできなければBAD ENDになります。


クリア条件 2人の推しの攻略

――――――――――


――――――――――

名前 早乙女誠也

身長 174cm

体重 57kg

職業 高校2年生


概要 あなたはマンホールの爆発事件に巻き込まれて死亡、そしてこの世界に転生した。この世界は、『マジラブッ!!』の世界です。しかしご安心ください、家族、友人、街、学校、などは全て元の世界を再現しました。

※この世界の主人公はあなたではありません、あなたはモブの一人です。

※この世界はあなた方がクリアしたどのルートにも属しません、もしこのルートをクリアできなければBAD ENDになります。


クリア条件 2人の推しの攻略

――――――――――


 全く同じことが書かれていた。

 取り敢えず家族はいる。

 友達もいる。

 

 でもゲームの世界?

 BAD END?

 推しの攻略?


「これは…な、えぇ…ど、どうする?」


「どうするもこうするも…お家に帰る?」


「だ、だな…」


 俺達は家に帰ることにした、色々と疲れた。

 死んだと思ったら、転生してたり。

 知らない世界に居たり、取り敢えず疲れた。


 俺達は、家路についた。

 







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