第6話 退院後とそれから
退院後、さすがにすぐに職場復帰とはいかず、しっかり歩けるようになるまで自宅療養ということになった。
とりあえず一週間、療養期間をもらったが、やはり退院後3日くらいは足の筋力が落ちていたこともあり、長時間立っていたり歩いたりすることは難しかった。
ぎっくり腰になる前は当たり前のようにできていたことができない。
醤油を取ろうと少しかがめば、腰に刺すような痛みが走ったし、椅子に10分以上座れば痛みで立ち上がれなくなる。
また立てなくなるのが恐ろしくて、家では可能な限り横になっているか、少しの時間歩行の練習をして過ごした。
夜、ベットに横になる度に、もし明日の朝、あのときのような腰痛で起き上がれなかったら?と毎日怯えて眠っていたし、階段を踏み外すのが怖くて、いつもの倍以上の時間をかけて上り下りした。
それでもなんとかしっかり歩けるまでに回復し、相談の結果、一週間後仕事復帰を果たすのだが、正直これが精神的にも身体的にもとてつもなくしんどかった。
上司は気を使ってくれていたが、これ以上休めない、という気持ちからちょっと無理をして復帰をした為、まだ長時間立っていると腰が痛くなってきたし、椅子にも座っていられないので、休憩中も少し座っては立ちあがり、また少し座るというのを繰り返したりしていた。
なにより、どうしても重いものを持ち上げることが多い職場だったので、何度か、あ、やべっと思ったことがあった。
それと、周りの同僚たちにもそれはそれは多大なるご協力を頂いたわけであるが、ぎっくり腰ってなんだか、経験のない人には軽く見られがちなのだ。私の経験上だが。
ほんとにもう歩けなくなるかと思った、と話すと、そこまではないでしょ、と笑われたことも少なくないし、重たいものを持つときの、腰がどこかにすっ飛んで行ってしまったのかと思う程の違和感は、ほとんどの人に理解してもらえなかった。
腰痛程度で、と思われるのが怖くて、あまり助けを求めたりできずに、日によって激痛で痛み止めを飲んでなんとか仕事をこなす日もあったが、本当に無理!という日以外は基本的に申告せず、痛みを隠して働いていた。
そんな状態から一年と少し。心身ともに限界を迎えた、文字通りの限界社畜は、会社を辞めることになった。
ありがたくも、比較的体をつかわない部署への異動も提案してもらったが、どこへ異動しても腰痛で迷惑をかけてしまう気がしたし、この機会に、と思い辞めさせて下さい、とお願いしたのだった。
以上が簡単ではあるが、私のぎっくり腰体験の全て。
私の場合一生完治することはないそうなので、これからもこのやっかいな腰痛と付き合っていくしかない。ちなみに、よく聞く話だが、会社を辞めたら腰痛はだいぶ良くなり、今はほとんど普通に近い生活を送っている。
私がこの体験を通して伝えたいのは、自分を大事にしてほしい。この一点に限る。仕事辞めちまえ!とかそういうことでは決してない。でも、辛いときは無理せず逃げちゃえ。ぎっくり腰で入院した限界社畜は、そう思います。
初めての入院は、ぎっくり腰でした 蔵 @kura_18
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