第23話 その日

「おはよう、とも。」

「おはよう、ねえさん。まだ眠いよ。」


「今日何日かな?。」

「ふふ、朝か夜かも分からないけどね。」


「そうだね。」

「キスして。」


「うん。」

「好きよ。」


「大好き。」

「触って。」


「いいよ。」

「いつ、白鳩になれるのかなぁ。」


「そうだね。」


ゆるやかに瞼を閉じ微睡む2人。



純白の布の中、神々しい2人。


「お迎えにあがりました。」

夢うつつの2人にセリワノフが伝える。


花で飾られた寝台がゆっくりと廊下を進む。



目が覚めると、

天井に姉と私が並んで映っていた。


「ケタミンを。」という言葉と共に、腕からやがて全身がひんやりとした

なんとなく知っている冷たさ。


「そうだ、死んだ人の冷たさだ。」


隣の姉と目が合った。


姉の唇が(しあわせ)と動いたように見えた。


多くの人の声が響いている、何を言ってるか良く分からないけど。

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