第18話 男の僕と女の私

僕が18歳の時、父が死んだ。

父はマンションを残してくれた、離婚していた母が経済的な支援をしてくれた。

生活には困らなかったが、僕の中身はすっかり変わっていた。


姉が居ない時に、姉の化粧品や下着で女に変わるようになっていた。

鏡の中の僕は、幼い時に抱いてくれた母だった。

母への憧れが先か、父に愛撫されたのが先かは分からないけど。


僕は私になりたかった。


ううん、そうじゃないかも、男の僕に死んで欲しかったのかも。


僕の中には男の僕と女の私が居る。

滲んで曖昧な境目、両性が混濁としている。

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