第17話 17年前 康子
17年前
怖い夢で目覚めた時、部屋の外で物音が聞こえた。
父が文隆(ふみたか)の部屋に入っていって、悪戯をしているのを見てしまった。
人形のように動かない文隆を愛撫する父
スーツケースの中から聞こえる鳴き声
文隆を守りたかった。
初めての男が父になった。
私は文隆の代わりに父に抱かれるようになった。
父に触れられる度に、嫌悪感が私にしか見えない染みを作る。
お風呂の鏡に映る私は、紫斑だらけの醜い姿に見えた。
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