第10話 白い遺体

スーツや様々な服の人々が交錯する


風に舞う、大きな白い布

壁面に磔のように立てかけられた人の形が顕わになる。


‘’ギャー!!‘’

その叫びを合図に、人々の声がカオスとなる。

なんだ、えっ、キモイ、人なの?、ホラー、怖い、怖い、怖いいんイ、人なえっ、キモ怖怖だ、えっ、怖いいな、怖い、怖いんイ、人なキモホの?ラー、怖怖いい、イ、人な怖いなんいいなんイ、人だ、なんイ、人なキえっ、キモ怖怖いホの?ライ、人なの?、ホラー、怖い、怖い、怖い


スマホのレンズがキラキラと陽を反射している。



「道路封鎖遅かったな。」

「ネットにもう晒されてますね。」

「かんべんしてくれよぉ。また上から言われるよ。」


~東京都監察医務院 解剖室

「ここアップで撮って。」

「はい。」


「なんだろ、粉末か?、サンプル取って。」

「はい。」


「背中から開いて、、、。脊椎から、3から8の肋骨を切断。

この断面はワイヤーソーかな?。両肺を引き出しています。皮下出血あるね、生きたままこの処理を行い、肺を取り出している可能性あり。」

暮林の言葉が録音されて行く。


~東京都監察医務院 会議室

「ごふん、って何?、うん、うん、画材かぁ、炭酸カルシウムなのね。ありがとう、よろしく。」スマホを切る暮林。

投影された画像を眺める上野、安西、桝井。


「この状態で街中に遺棄されてました。」


「遺棄っていうか、飾られるように、あ、これ写真です。」


体毛は全て剃られ、眼球摘出、性器切除、背中を切開し取り出された肺が広げられている。

肺以外の臓器は無く、全身は白くコーティングされていた。


「この画像、私には十字架のキリストみたいに見えますね。肺は羽根を表してるのか、、、。」

暮林が呟く。


「キリストか、、、この間の組み合わされた3人の件で色々考えんですけど、あれはキリストの三位一体かな?って、これを見て、宗教的な意図を強く感じます。」


「儀式、、?。カルト教団。」


「安西、組犯(組織犯罪課)だな。」

上野は疲弊した目を画像に向けていた。


安西は静かに見ていた。

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