第11話 更なる白い遺体~スコプチ~
「文京区本郷……わかりました、向かいます。」
スマホを持つ康子を後ろから抱きしめるふみ。
「事件?。」
「うん、いかなきゃ。」
「気をつけてね。」
「ふみ、ごめんね。」
ふみの白い首にわずかに残る擦過傷を愛おしそうに撫でる康子。
黙って微笑み頷くふみ。
~現場
「なんか複数のゲソ痕だって?。」
「あ、上野さん。いや、らしいゲソ痕は複数あるんですが、靴底を加工してるか、シューズカバーですね。」
「ご遺体見せてください。」安西が淡々と言う。
純白の造形物のように遺体。
周囲は白い百合で飾られる。遺体に僅かに散る百合の花粉がなまめかしい。
「同じだ、、、。」
立ち眩みを起こす上野
無表情に眺める安西
~捜査第一課 会議室
黙り込む上野、桝井。
ドアが開く
「三位一体の男性ですが、後頭部の手術の痕から身元割れました。。小松崎健一、元半グレのIT企業役員、家族は無し。今、周辺洗ってます。」
「よし、安西、お前も座れ。」
「はい。」
「桝井さん、お願いします。」
「はい。まずは、一連の遺体から、スポコラミンとハルミンもしくはバニステリンと言った幻覚作用の強い成分が検出されました。
次に、異常な行為なんですが、これは拷問ではないかと。鼠は直腸スコープ、四肢切断はイスラムのハッド刑、肺の羽根はスカンジナビアの血のワシ、それぞれが拷問に酷似しています。
で、直近の2件、肺の羽根の白い遺体は、ロシアに存在していたスコプチというカルト宗教の儀式から来ていると思います。
スコプチは性欲を悪、その悪を排除する為に性器や女性の胸を切り取るという儀式をやってて、信者を白鳩と定義していたようです。」
「やっぱりカルトですか。」
上野が諦めにも似た表情を見せる。
「はい、そこでスコプチについてデジタル班で調べてもらった所、フリストとセリワノフというワードで怪しい物がヒットしました。」
「セリ、、、何語ですか?。」
「はい、フリストは自らを鞭で打ち戒める去勢派と言われるキリスト教の一派で、スコプチはこのフリストの教義を踏襲していると言われています。
そしてセリワノフというワードですが、これはスコプチの開祖と同じ名前です。
この2つの組み合わせは、ま、宗教関係に興味あれば不思議ではないのですが、パーティをしているような画像に付帯したテキストで、どうも不自然なんです。で、この投稿をした人間を調査しています。」
少し先が見えてきたかも、ふみに会わないと。
ふみに会いたい。
下着の中で乳首が充血していた。
~白い部屋
「今日あたりですか?。」
「はい、行動パターンからすると。」
「準備は大丈夫ですか。」
「あの方の部屋に、お迎えの要員を待機させています。」
「お願いします、ご加護を。」
「はい、セリワノフ。」
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