第5話 白い部屋

白い衣を羽織る人の周りを多くの純白の鳥が羽ばたく

荘厳な絵画を背に、夢うつつの表情で座る男。


ドアが開く、長身の女性が入ってくる。


「失礼します。」


「君はいつもノックをしないね。他の秘書はそうじゃないよ。」


「それは信頼関係が無いのでしょう、ところで、新しい鳩はどうです?。」


「理想的ですね。神秘的な美しさですよ。」


「大変、お気に入りのようですね。」


「はい。漸く見つけました。あっ、それで、5㎎ですけど成分を濃くする事は?。」


「出来ます。」


「では、150%にしてください。」


「分かりました。あと、例のSNSの投稿ですけど、対処しますか?。」


「そうですね、写真に映ってる人も知っていると思います?。」


「おそらく。」


「投稿はダメですって、注意してますよね?。何故無くならないんでしょうか?。」


「性欲と同じで、自制出来ないんでしょうね。では、どうなさいます?。」


「対処してください。」


「畏まりました。」


去る秘書を見送り、絵画に振り返る。

指揮者のように揺蕩う両手、その顔は恍惚に浸る。

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