第4話 ふみ
ガラスに映る横顔
僅かに不快感を見せる睫毛の先端
「ごめんなさい、そんなつもりじゃ。」
人形のような細い指が、男の手を柔らかく拒否する。
「ごめんなさい、ふみ。」
言葉ほど悪びれた様子の無い笑顔で男が答えた。
「いえ。」
あまり感情が見とれない表情で答える。
「そうだ、新しい薬はどう?。」
「まだ、ちょっと分からないですけど、嫌な事を考えるのは減ったかな。」
「良かった、続けてみて。でも、飲み過ぎないように。」
「はい。」
フロントグラスからの夜景
静かな車内にマーラーが反射する
端正な横顔を眺める、ふみ。
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