最終話 旅立ち
「え?」
「ここに悪魔がきたからな、防衛のために兵士が派遣されることになった。兵士が着次第、俺は次の宝玉を守るために旅立つことになる。」
「クリスはどうなるんでしょうか?」
「このままの生活はできますよ。後、カラーも残しますし。」
「契約したんだから、最後まで面倒見るわよ。」
「ディノさんはそれで大丈夫なんですか?カラーがいないといざ、けがした時に・・・。」
「大丈夫、回復薬は支給されるし。魔物を狩れば稼げるしな。それに俺がやらなきゃいけないからな。」
「・・・。」
「とにかく、後数日、お願いします。」
それからは村の復旧の手伝いをしつつ、兵士の到着を待ち、兵士が来た時に引継ぎをして、その次の日、ディノは次の任務のために旅立つときがきた。
「色々とお世話になりました。」
「私たちの方こそ、ありがとうごさいました。。」
「お兄ちゃん、本当に行っちゃうの?」
寂しそうに言うピット。
「まだ、仕事があるからな、いつかまた来るよ。それとカラーのことよろしくな。」
「失礼ね。世話をするのはこちらの方よ。あんたも寂しくて泣くんじゃないのよ。」
「どうかな?確かに回復薬代に泣くかな。」
「ふん、強がっちゃって。」
「・・・。」
その様子を黙ってみているクリス。
そんな態度に寂しそうな目をするディノ。
だが、悟られまいと笑顔で言った。
「では、俺はこれで・・・。」
「気をつけてね。」
「ああ、またな。」
そういうとピットの頭をなでてから、村から出て行った。
その後ろ姿を黙って見送っていたクリスだったが、何か決心したようで、シスターに話しかける。
「シスター、お願いがあります。」
ディノは一人、考えながら森の中を歩いていた。
さすがにカラーとの旅が多かったためか、さすがに寂しいとか、クリスが何も言ってくれなかったこと。
そんなことを考えながら、歩いていると、後ろから近づいてくる気配を感じた。
とっさに、近くの木に身を隠して、気配を探る。
(足音はひとつか。悪魔の生き残りか。)
気配のするほうをにらみつけながら、ネックレスに手をかける。
そして、すぐ目の前の茂みから音がする。
(先手必勝!)
首飾りを剣に変化させつつ、茂みへと突撃する。
ドン!
「きゃっ!」
(きゃっ?なんかかわいらしい声。)
警戒心を解いたディノは体当たりで向こう側に吹っ飛んだものを確認しようと、茂みを掻き分けた。
すると、そこには一人の亜人族の少女が尻餅をついていた。
「クリス?どうしてここに。」
右手に持った剣をネックレスに戻しながら聞いた。
「いたた。とりあえず、起こしてくれません?」
「ああ、ごめん。」
慌てて、手を差し出し、クリスを起こすディノ。
「で、どうしたの?」
「あんたを追ってきたのよ。」
いつの間にかディノの肩に乗っていたカラーが言う。
「なんか忘れ物でもしたかな?」
「いえいえ、忘れ物とかじゃなくて・・・。」
もじもじして、下を向くクリス。
「頑張りなさいよ。」
そして、何か決意して、勢いよく顔を上げ、言った。
「ディノさん!」
「はい!?」
あまりの迫力にたじろぐディノ。
「私も一緒に行かせてください!」
「えっ?ちょっと待って、どこに?」
「宝玉を守る旅です。」
「いやいやいや、危険すぎるから、駄目だよ。」
「でも、ディノさん。もし、この間みたいに怪我を負ったらどうするんですか。」
「うっ。確かにそれはやばいけど・・・。ほら、シスターたちの心配するでしょ?」
「シスターたちには話しました。あなたが決めたことだから、私は反対しないわと言っていました。皆もいってらっしゃいと言っていました。」
「う~~ん。」
クリスの勢いにたじたじのディノをみて、カラーがため息をつきながら、言った。
「ディノ、あんたの負けよ。」
「ああ、わかった。降参降参。じゃあ、一緒に行こうか。」
「やった。」
カラーとハイタッチをするクリス。
「じゃあ、一緒にいくなら条件がある。」
「なんですか?」
「さん付けやめて、呼び捨てにしてくれないかな。」
「じゃあ、ディノ、よろしくお願いします。」
「うん、よろしく。クリス。」
二人とも照れながら握手する。
「ヒュウヒュウ、アツイねえ。」
二人の周りを飛びながら茶化すカラー。
「いや、そんなんじゃないよ。あっこら待て!」
照れ隠しに飛び回るカラーを追いかけていくディノ。
「あっ、待ってくださいよぉ!」
クリスもその後を追っていく。
こうして、三人は旅立っていった。
その後、三人は世界を揺るがすとてつもない闘いになっていくことをまだ知らない・・・。
神殺しの一族 テリヤキサンド @teriyaki02a
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