第12話 事情

村人たちと協力し、家具を入れたこと頃には日が沈む時間になり、夕飯は軽く済ませ、もう休むことになった。

ディノは教会組とともに家に入り、席に全員がつく。

 「ふう、やっと息がつける。」

 「ディノさん、この度はありがとうございました。あなたのおかげで村は火事くらいですみました。」

 「いえいえ、これが仕事ですから、気にしないでください。」

深々と頭の下げるシスターを見て、慌てるディノ。 

 「そういえば、仕事ってどういうことなんですか?」

戦闘時に悪魔にディノが言っていたことが気になるクリス。

 「そうだな、改めて説明しよう。」

 「まず、俺のことなんだが、俺は神狩りの一族のものだ。」

 「あの昔話の一族なんですか、なんか現実感がないですね。」

戦闘時の会話は知らないシスターは驚くが、信じられないようだ。

 「お兄ちゃんはすごかったよ、化け物たちをあっという間に倒したんだから。」

 「そうです、あの昔話は本当だったんだと思いましたよ。」

ピットとクリスが擁護する。

 「そうね、あの化け物を倒せるんですものね。」

 「でだ、なぜここに俺が来たかということだが、俺の村の事件がきっかけだ。」


‐俺の村では、いずれ来る邪神との闘いのために鍛える日々を送っていた。

そして、安置されていた神剣が輝き、封印が弱まったことがわかった。

そこで、神剣の担い手として選ばれたのが俺と兄。

最後に兄弟で木剣での模擬戦を行い、勝者が神剣の担い手になるはすだった。

が、その前日。兄が密かに神剣を持ちだしてしまった。

俺は長から神剣の回収を命じられ、村の守護獣であるカラーと奪還をするために旅立った。

いくつかの村や町で情報を得て、兄を見つけ出すことができたのだが、兄は悪魔にとりつかれて、宝玉を壊す寸前だった。。

なんとか兄と戦い、洗脳は解いたものの、宝玉は破壊され、封印が弱まってしまった。

洗脳された兄は消耗が激しく、一緒に王都へ治療にいくことなった。

王都につき、兄を治療院に預けた俺は神殿にて神託をさずかる。


 神剣を用いて、後五つの宝玉を守り抜け


この神託を受けて、神殿の教皇と王から協力得て、この村にまでやってきた‐


 「というのが、ことの経緯だ。」

 「情報が多すぎて混乱してるけど、神託って本当にあるんですね、それは神狩りの一族だから聞こえたということですか?」

 「いや、教会に属する高位神官、実力のある信心深い人なら、神託を得ることができるそうだ。」

 「あれ、そうなると今の私はどうなるんでしょう?」

 「宝玉の力を自覚しているし、カラーとも契約しているからそのうち聞こえるようになるかもな。」

 「あの、神託というのは従わないといけないことなんですか、この子はまだ子供です。危険なことはさせたくないんですが。」

 「そのことならご安心を、神託というのは指針であって義務ではないんですよ。戦いは戦える人にまかせるのが一番ですよ。」

 「じゃあさ、俺がお兄ちゃんくらいに強くなって、みんなのために戦うよ。」

 「お、威勢がいいな。けど、無理はしてほしくないんだよなあ。ん?」

ディノが何かに気づいたようで、家の窓を見る。つられて、皆も外の闇夜に目を移す。

暗闇に目を凝らすと遠くに光るものが見え、だんだんとこちらに近づいてくる。

ようやく、輪郭がわかるようになり、その姿を見るとワシのような鳥で全身からチリチリと雷のようなものを放ち、それだ光に見えたことがわかった。

その鳥はこちらに近づくにつれて、光を弱めていき、ほのかな灯りくらいになると窓の縁にとまる。

 「お疲れ様、連絡はついたかい?」

 「王都の神殿にて教皇に伝えた。返事はここに。」

鳥が自身の足につけられた文をつつく。

 「あのその鳥って?」

 「ああ、俺の今いる契約している最後の一体。サンダーバードのライだ。」

 「よろしく。」

ペコリのお辞儀するライ。

さっそく、文を解き、目を走らせる。

 「ふむ」

文を読み終えると手に火をともし、消し炭にする。

 「今の連絡なんだが、後数日で俺はここを出ることになった。」

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