第11話 戦いの後で
「ん!?」
「あ、お兄ちゃん起きた!」
目を覚ましたディノは自分が意識を失う前にいた敷わらに寝ていた。そして、横にはピットがじっと見つめていた。
「ああ、ピットおはよう。あれからどれくらいたった?」
「3時間くらいかな。クリス姉ちゃん達は外でお手伝いしてるよ。」
「そうか、なら俺も手伝うとするか。」
「そんなはやく動いて大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だ。怪我も治ってるし、これくらいの疲労ならいつものことだしな。」
ディノは体を起こすと凝った体をほぐしつつ、ピットの案内で移動していく。
襲撃のあった村の様子はほとんどの家が火にやられており、いまだに燃えているものがあるが、幸いにして村人に逃げ遅れはいないようだった。
そうして、クルス達のいる避難場所にたどり着く。
「クリス姉ちゃん!」
「あ!ディノさん起きたんですか!」
「ああ、心配かけたようで悪いな。この通り元気になった。」
怪我を負ったはずの左腕を勢いよく振りながら答える。
「よかったです。初めての魔法だったので本当に成功したか心配で。」
「あら、私が契約した魔法よ?失敗するはずないじゃない。」
「ああ、そこは信頼しているからな。さて、このままじゃ、夜になると大変だし、簡易でもいいから家を作るか。」
「作るって家を?」
「ああ、この神剣を使ってな。」
「じゃあ、あの変身するの!?」
あの変身がまた見えるのかと思い、目を輝かせるピット。
「いや、あそこまでやると色々と動きづらいし、今回は腕だけだな。というワケで頼むよダンじい。」
そういうとネックレスから光がでて、右腕を包んでいく、光は篭手になっていき、その篭手の上には前にみた老人がいた。
「おう、ディノ呼んだかの?」
「ああ、これから家を何件か作ろうかと思ってな。」
「そうか、お安い御用じゃわい。」
「じゃあ、いくぞ。アースコントロール。」
呪文を唱えながら、右手を地面につけると、目の前の地面がうなりはじめ、石や砂利なのが地面に飲まれていきその、うねりが収まったそこには何もない頑丈な地面になっていた。
「続いて、ストーンウォール。」
次の呪文を唱えるとさきほどの頑丈な地面から石の壁が円型に盛り上がっていき、そのまま、円型の建物になっていった。
「おお、家だ!」
「こんな簡単にできるもんなんですか。」
「まあ、そこは鍛冶というなら土の精霊であるノーム、ダンじいだからな。」
「おう、こんなものは朝飯前よ。」
そんな会話をしつつ、数件の家を作っていく。
「後は家具ってことだが、家具くらいなら、無事に残っているかな?」
「まだ、燃えている家があるので家具は難しいんじゃ・・・。あれ、火が消えてる?」
「ああ、火なら家を作ってるあいだに消してもらっていたんだよ、なっドラン。」
「おう、この辺りの火はくらってきたぜ。」
いつの間にかディノの肩に赤いからだトカゲが口からチロチロと火をだしながら、喋っていた。
「嬢ちゃんに小僧、俺は精霊サラマンダーのドラン。ヨロシク!」
「よろしく~。」
「あ、火を消してもらって、ありがとうございます。」
「火は俺のご飯みたいなもんだから、気にすんなよ。」
「さて、火も消えたことだし、みんなに手伝ってもらって、家具を出していこう。」
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