第10話 ※後始末
ディノが気絶した時、近くの森に動くものがいた。
「くっ!なんとか逃れたか。」
それはサラマンダーに焼かれたはずの悪魔。全身がやけどに侵されてはいたが、悪魔はその頑丈さでなんとか歩いて離脱するくらいのことはできた。
「あの神殺しめ、今度あったら八つ裂き・・・。いや、主に報告し、主の軍勢にて村ごと殲滅してくれるわ。」
悪魔は村を蹂躙する光景を思い浮かべ、薄ら笑いを浮かべながら、森の奥へと入っていく。
やがて、岩山へとたどり着き、その山肌に手をつけた。
すると、スッと目のまえの岩が消えていき、奥に続く通路が現れる。
その通路を進み、奥にたどり着く。
そこには魔法陣があった。
「後はこの転移陣を起動するだけだが、まだ魔力が回復しない。しばらく待つしかないか。」
「いや、もう待たなくていい。」
「は?」
自分以外に何もいないはずなのに、後ろから声が聞こえることに気づく悪魔。振り向きながら、右爪をふるう。
ガキン!
が、その爪は受け止められた。
その爪をうけとめたのは黒い剣をもった黒づくめの男。
「貴様、何者だ。」
「俺が何者であろうと、いまから死ぬお前には関係ないだろう。」
左爪も振るい、両爪で連撃を繰り出すが、軽々と剣で爪をはじいていく男。
「くっ、こうなれば、この洞窟が崩れるかもしれんなしょうがない、火球弾!」
後ろに下り、口から火球を出す悪魔。
それをよけようともせず、そのまま火球に駆け出す男。
「洞窟をくずされるワケにはいかないな。」
駆けながら剣を火球に振るう、すると火球が霧散した。
「なんだと!?」
次弾を用意していた悪魔であったが唖然とした表情をしたまま、膠着する。そして、気づいたときには上を見上げていた。
「は?」
首から下の体の感覚がなく、首を狩られたと気づいたときには遅かった。その視線の先で納刀していく男の姿が見えた。これが悪魔の最後に見たものだった。
悪魔をしとめ、消えていくのを確認した男は転移陣に近づく。が、転移陣にヒビができ始め、消えていった。
「自壊か。手がかりはなくなったが、奴らの手を潰せただけましか。」
他になにか手がかりがないかと探しつつ、洞窟を出ていく。
洞窟からでると、頭を覆っていた頭巾をはずし、洞窟から見える村の様子を見る男。
「クリス・・・。」
そうつぶやいた男はクリスと同じ種類の耳と目の色をしていた。
しばし、村を見つめていた男は胸元から転移陣のかかれた用紙をだし、どこぞへと転移した。
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