第6話 悪魔の襲撃

 神殿から、村の様子を見たディノ達は、急いで村におりた。

村に着いたとき、ほとんどの家に火が付き、まるで、地獄絵図だった。

 「ひどい。」

クリスは両手を顔に当て、恐怖に震えていた。

 「教会の皆は!」

ピットが教会目掛けて、かけていこうとする。

それをディノが止める。

 「だめだ!いくなら俺がいってくる。そこの木陰でじっとしているんだぞ。クリス、ピットを頼む。」

そういうと教会へとかけだしていった。


 教会に着くとシスター達がちょうど、出てきた。

多少、やけどはしているがひどい怪我ではないようだ。

 「皆無事か!」

その声にシスターがディノを見て、安堵する。

 「ええ、無事よ。そちらは大丈夫。」

 「神殿の方は無事でした。とりあえず、神殿へ避難してください。カラー負傷者を頼む。」

 「了解!」

カラーは飛んで、負傷者の治療をしていく。

 「シスター、この火はどうして付いたんですか。」

 「この火はあいつの仕業よ。」

シスターは空を指さした。

そこには、禍々しい姿をした化け物が飛んでいた。

 「あれは悪魔!どうしてこんな辺境に。」

考えていると、悪魔がある方向へ飛んでいった。

 「あの方向は・・・やばい!クリス達が危ない。シスター後は頼みます。」

 「ええ、あの子達を頼みます。あなたに神を祝福を・・・。」

全力で引き返していくディノ。


 その頃、クリスとピットは木陰に隠れて、様子を見ていた。

 (一体これはどういうことなの?何か悪いことをしたとでも言うの?)

頭の中で整理しようにも、何がなんだかわからず、混乱するばかりだった。

 「なにかこっちに来るよ。」

 「えっ。」

ピットの目線の先を見ると、禍々しいものがこちら目掛けて飛んできていた。

そして、目と鼻の先に降りてきた。

 「ここか?」

きょろきょろしながら、クリス達のほうへ近づいてきた。

クリスは反射的にピットを手繰り寄せて、口をふさいで、じっとした。

 (どうか気づかないで!)

一歩、また一歩とクリス達のいる場所に近づいていく足音。

それが突然止まり、それからしばらくしてから、遠ざかっていくのが聞こえた。

 (もう、大丈夫かしら?)

そう思い、そっと、物陰から見ようと体を乗り出した。

 「み~つけた。」

視界に飛び込んできたのは、ぎょろっとした目をした悪魔の顔だった。

 「ひっ。」

思わず、後ろへ倒れこむクリスとピット。

 「早速で悪いが死んでもらおうか!」

悪魔の手から炎が上がり、それが火の玉となってクリス達を襲う。

 「きゃあああ!」

目をつぶり、ピットをかばいながら、死を覚悟したクリス。

が、炎が当たった感覚はなかった。

そっと、目を開くと自分達の周りに光の膜ができていた。

 「なにこれ?」

その時、悪魔がほくそ笑んだ。

 「やはり、ここにあったか。宝玉!」

 「宝玉?なにを言っているの?」

 「まだ、わからないのか?貴様の中に宝玉があるんだよ。その光の膜が証拠だ。」

 「じゃあ、あの時、無くなったと思ったのは、私の中に移動したってこと?」

 「そんなことはどうでもいい。貴様を殺せば、わが主も喜ぶ。」

そういうと、悪魔は自身の手のひらから一振りの黒い霧をまとった剣を引き出していく。

 「この魔剣であれば、こんな結界は破壊できる、覚悟してもらおうか!」

悪魔が剣を振りかぶった。

クリスは動こうにも、腰が抜けてしまい動けなかった。

その時、声が聞こえてきた。

 「この世乱れるとき、神のつくりし剣が罰を下す、姿を現せ!ディバインパニッシュメント!」

悪魔の剣が振り下ろされたとき、一つの影が一振りの金色の剣で受け止めた。

 「ふう、ぎりぎりセーフだな。」

剣を受け止めながら、クリス達に笑いかけるディノ。

 「貴様ぁ!邪魔をするな。」

悪魔が力を入れて、剣を押し込んでくる。

が、デイノは片手で受け止めているのにもかかわらず、びくともしない。

 「あいにく、お前の攻撃は効かないよ!」

勢いをつけて、悪魔の剣ごと弾き飛ばす。

悪魔は数メートル後退した。

 「貴様、ただの人間ではないな。何者だ!」

 「俺の名はディノ。お前達の天敵、神狩りの一族だ!」

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