第5話 宝玉の行方
翌日、ディノとクリスは神殿へと出かけることになった。
ちょうど、ディノが出かけの準備をしているとピットが現れた。
「何してるの?」
「なんだ、ピットか。ちょっと、神殿に行こうとおもってね。」
「ふうん、なにしにいくの?」
「宝探しってところかな。」
「宝探し!僕も行く、僕も行く。」
「来てもなんもないかもしれないぞ。」
「こんなところじゃ、楽しいことなんもないから。」
「そうか。なら行くか。」
「うん。じゃあ、準備してくる♪」
ピットは急いで、部屋へかけていった。
ディノはピットを待って、クリスの待つ玄関へ向かった。
玄関で待っていたクリスがこちらに気づくと少し怪訝な顔をした。
「なんで、ピットそんなに荷物を持ってるの。」
「俺も宝探しするんだ!」
ピットはそういって、スコップなどがたくさん入ったリュックをクリスに見せ付ける。
「遊びじゃないのよ。」
「だめなの。」
ピットが潤んだ目で、ディノに言う。
そんな様子を見て、断るワケにもいかず、
「だめかな?」
「まあ、ディノさんがいいなら。」
あきれながら、クリスが言う。
「やった!じゃあ、行こう!」
そういって、ピットが先導して神殿へ向かった。
神殿は丘の上にあり、昔は通う人も多かったが、ここ数年は人も来ず、道も荒れてしまった。
なので、結構きつい道となってしまっていた。
「結構な道だな。こんな道だと人が来ないのも頷けるな。」
「ええ、はじめ神殿に向かうのは凄くつらかったです。でも通っている内に平気になりました。でも・・・。」
クリスが前ではしゃぎまくっているピットを見る。
「ピットを見ていると自分がいかに非力なのかと・・・。」
クリスがしょんぼりする。
「まあ、男の子なんだし、元気なほうがいいよ。そう、元気なほうがいいんだ。」
ふと、ディノが思いつめた表情になる。
そんな、ディノを見てクリスが心配する。
「どうかしました。」
「いや、ちょっと、兄のことを思い出しちゃってね。俺が旅に出るときは寝込んでいてね。」
「そうだったんですか。」
「まあ、あんまり心配はしてないんだけどね。元気がとりえみたいなもんだから。」
にひっと笑うディノ。
そんなこんなで神殿へ着いた一行。
ディノはネックレスの反応をみながら言った。
「反応はないみたいだけど、力は消えていないみたいだ。」
「どうして、わかるんですか?」
「力の元がなくなるといままでの年月によって朽ちていくものなんだけど、どこもかけていないからね。」
そういうと、柱を叩いた。
「とりあえず、宝玉のおいてあったところに案内よろしく。」
「はい、こちらです。」
クリスに先導されて、宝玉のおいてあった部屋へとたどり着く。
その部屋の真ん中には台があり、ちょうどそこに宝玉があったらしいことがわかる。
「確かになにもないな。よし、ピットお宝探しだ。」
「待ってました!で、なにを探すの?」
「ここで宝玉が消えたなら、なにかその傷跡があるはずなんだ。」
「うん、わかった。」
そういうと、床に張付いて探し始めた
「お前も出番だぞ。」
そういって、マントの首元を優しく叩く。
そうすると、もぞもぞとカラーが出てきた。
「何?朝?」
目をこすりながら、ディノの肩へと器用に歩いていく。
「お前も反応があれば、わかるだろう。さあ、いった。」
「は~い、わかりましたよ~。」
しぶしぶといった感じでふらふらと飛んでいくカラー。
「さて、それじゃあ、俺もさがすか。」
「あっ、私も。」
そうして、全員で探すこと数時間・・・。
「何も無いよ~。」
あきてしまったのかその場に寝転ぶピット。
「こっちもよ。何もなし。」
やれやれと首を振りながら言うカラー。
「おかしい。なにも無いなんて。」
「力が無くなって、消えたとか。」
いやっと首を振るディノ。
「それなら、神殿にも影響があるはず。だとしたら、宝玉がどこかに移動したか。」
「まさか、宝玉が奪われたとか。」
「いや、それは無理だ。人がいくら力をかけようが、動かないし、壊れない。強大な魔力ならできるが、そんなことをしようなら、神殿がくずれて、誰かが気がつくはずだ。」
「じゃあ、どういうことですか?」
「宝玉自身が移動したってことなら、納得がいく。ある程度の魔力を持つものなら意思のようなものは持つからな。」
「じゃあ、ここには・・・。」
「理由があるにしろ、少なくともここにはないな。おーい、じゃあそろそろ帰ろうか。」
その声を聞いて、ピットが起き上がってこちらにかけてきた。
「もう、いいの?」
「ああ、ここには何もないみたいだ。ごめんな。」
ピットの頭に手を置くディノ。
「いいよ。退屈しのぎになったし。」
「じゃあ、帰ろうか。」
「うん!」
その時、村のほうから轟音が鳴り響いた。
「なんだ、今の音は。」
全員そろって、神殿を出る。
「村が・・・!」
視界に見えたのは、村から上がる炎と煙だった・・・。
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