第4話 とある配信のコメント欄

『おっ、また新しい配信者か?』


『おつー、最近増えたねー』


『TBO人気だからなー、それにしてもこんな小さい子が配信とは。小学生?』


『クレハちゃんか、可愛いなあ』


『親御さんはちゃんと了承してるんだろうか。ちょっと心配である』


『全然反応しないけど、この子もしかして俺らに気付いてない??』


『あー、多分配信設定初期のままやってるな……あれ初期設定だとコメント小さくて見づらいし、音声読み上げもやってくれないから』


『こんな子供じゃしかたないね。終わった後気付けるようにちゃんとコメント残しとこうぜ』


『配信メニュー→設定→ウィンドウからコメント位置弄れるからちゃんとやるんだぞーー』


『よく分からなかったらURL書き込むからそれ踏んで記事読んで』


『それで、クレハちゃん今からチュートリアルか』


『おじさんに話しかけられて腰抜かしてるぞこの子。可愛い』


『キャラ構成どうしてるんだろうな。教えて欲しいけど未だこっちには気付いてない』


『この後チュートリアル中にステータス開くだろうからそこで見えるんじゃね?』


『でもまずは初期モンの決定だな』


『めっちゃ迷ってる。ってちょっと待って、今この子ロケートラクーンより弱いって言った?』


『一体どんなステータスなんだ……見るの怖くなってきたんだけど』


『そしてロケートラクーンより弱いと言いながらそのロケートラクーンを選んでしまうムーブ。大丈夫かこれ?』


『弱い×弱いで強いに逆転する可能性が微レ存』


『算数かよw』


『生産職なのかねえ、まあこんな幼女が前衛で戦えるとも思えんし妥当?』


『名前たぬ吉てw なんともコメントに困る名前をw』


『タヌキと幼女が戯れてる。可愛い』


『そして初期装備支給からのチュートリアル』


『……ん? 今一瞬とんでもないステータス見えた気がするんだけど気のせい?』


『待て待てwww 今この子のステータス幸運極振りだったんだけど!?www』


『よりによって幸運かよ……なんて酷い地雷を踏み抜くんだ……』


『そんな酷いのか? 幸運一極』


『そら酷いぞ、まず魔力不足で調合すら出来ない』


『えぇ……』


『筋力不足でケマリンにすらダメージ与えられないし、体力と防御不足で一撃貰ったら即死する。だからな、何をしてもレベル上がらないんだわ』


『うっそだろお前。酷すぎる』


『他のステータスならやりようはあるんだけどなあ。体力と防御極ならわざと攻撃喰らってヘイト稼げば戦闘参加扱いだし、魔力極なら応援打てばいいし、知力極なら魔力10でも使える魔法スキル貰えるし、器用極でもクリティカル補正上がるから地道に石ころ投げてればケマリンくらいはダメージ通せるんだが……幸運だけは無理、何してもダメだった』


『やけに詳しいなお前』


『そらお前全部試したからよ』


『マジかよwww 極振り全部実行とかとんだ物好きだなwww』


『極振りは男のロマンだろ!? でも幸運だけは無理でしたごめんなさい』


『どうしてもダメなのか? 幸運ってテイム率上がるんだしそれでどうにか』


『いや、このゲーム仕様上幸運どんだけ上げてもテイム成功率100%にはならないし、幸運上げるくらいなら殴って弱らせた方が成功するんだよな』


『無傷でテイム出来るのなんて最初の一体だけだろ。テイムの射程短いしキツすぎる』


『それに、テイムって自分よりレベル高い相手には尋常じゃないくらい成功率下がるし……俺、レベル3つ上の相手瀕死状態のまま眠らせて試したけど、成功するまで四十回テイム連発させられたわ』


『粘ったなぁw それで成功したそのモンスターで戦わなかったのか?』


『テイムしたモンスター、自分よりレベル高いと言うこと聞かないんだよ。戦闘中に勝手に探索に出掛けられた時は泣いた』


『ちょw マジかw』


『探索出掛けられるだけならまだマシだろ。レベル5以上上回られるとプレイヤーが攻撃されるパターンすらあるぞ』


『そうそう、そして幸運極振りはもしそんなことやられたら即死待ったなし。そしてレベルは1から上に行かない。後は分かるな?』


『詰んでるじゃん……』


『だがそれをこの子に伝える術がない』


『気付け! 俺達のコメントに気付けー!!』


『とかなんとかやってる間に既にケマリンにやられて一死してるぞこの子』


『チュートリアル諦めたのかw 判断が早いw』


『そして今度は強い子テイムすると言い出し再び平原へ向かうクレハちゃん』


『一撃貰えば即死するステで格上相手にテイム一発勝負を挑む幼女』


『無理ゲーにも程がある』


『ダメだクレハちゃん、行くなーー!!』


『ケマリンとラクーンのどつき合いは見てて癒されるなぁ(棒)』


『お前一人現実逃避してんじゃねえw』


『ていうかさ、さっきラクーンのレベル上がってたよな? 問題なく言うこと聞いてるように見えるの俺だけ?』


『まあ、レベル1差なら言うこと聞かないのも偶にだしな』


『ふーん。つかさっきから全くケマリン以外のモンスター出てこないな』


『この辺ならゴブリンとか出るはずなんだけど』


『ゴブリンに襲われる幼女の図が起こらなくて良かったとみるべきなのか、ゴブリンくらいのモンスター相手に試して早く諦めてくれた方が良かったのにと思うべきか』


『いやほんとにモンスター出ないなw どうなってんのw』


『あ、プレイヤーいる』


『曙光騎士団のゼインじゃん。こいつらが狩りつくしてたのか』


『ユニークモンスター探してたみたいだな』


『ユニークってなんだ?』


『すっげえ偶に出るそのエリアの特殊個体的な。平均レベルいきなり10くらいぶっちぎるから下手に遭遇すると死ぬんだけど』


『でも高確率で特殊スキル備えてるし、テイム出来たらかなり強い。その分テイム成功率もめっちゃ低いんだけど』


『へー、俺このゲーム一か月以上やってるけど遭遇したことすらないわ』


『そのエリアのモンスター狩りまくってると出現率上がるなんて眉唾情報もあるけどな。だからゼインも狩ってたんだろ』


『そしてゼイン、幼女を安全なところまで送り届けるつもりの様子』


『優しい。流石イケメン』


『なおクレハちゃんそれを固辞』


『あかんあかん、クレハちゃん素直に逃げてそこ危ない』


『ゼイン行っちゃったよ』


『次モンスター出たら死ぬのだがなぁ』


『とか言ってる間になんか出たぞ』


『ぶっ、今言ってたユニークモンスターじゃねーかよ!!』


『よりによってこのタイミングで出る??』


『ゼインーー!! 戻ってこーーい!!』


『ひでえ置き土産残してったなあの野郎w』


『そしてテイムに挑むクレハちゃん』


『無理だってばそれは!!』


『おいおい死んだわあいつ』


『……死んで、ない……だと?』


『えっ、テイム成功したの? レベル1が? レベル15のユニークを? 無傷のまま一発で!?』


『ふざけんなwww どんな確率だよwww』


『宝くじ当たる方がまだ勝率高いのでは??』


『でもせっかくテイム出来ても、こんだけレベル離れてると言うこと聞かないよな……』


『言うこと聞かない……聞かない、はず……?』


『なあ、クレハちゃん普通にユニークの上乗ってるんだけど。普通に乗りこなしてるんだけど。どういうことなの?』


『いやなんでいうこと聞いてるんだよ!?』


『おおお落ち着け、別に100%言うこと聞かないわけじゃない、極低確率で言うことを聞く可能性はある』


『この子既にその超低確率越えてテイムしたとこなんだが!?w』


『別に何か特殊なスキル生えてるわけじゃないよな? え、これが幸運極振りの力?』


『ここまで来たらもうステータスの問題じゃなくてリアルラックだろw』


『俺ちょっと幸運極振りで一キャラ作ってみようかしら……』


『頭バグる……一体何が起こってるんだ……?』

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