第17話 sideエマ 2

私の大好きなおじいちゃん。

イアンの尊敬する師匠ローガン。


墓石の前で手を会わせる私。

…そういえば、私はもう死んでるのよね、なんだか不思議な感覚。


天国に行ったらおじいちゃんと私に会えるかも、なんてイアンが言うから、変な事言わないで!って怒ってあげたわ!


あなたはこれから先、幸せに生きて欲しいんだから。




あなたと会ったらね、話そうと思ってた事があるの。


それは手紙のこと。

あなたの家族から送られた大切な…大切な。



怖がりなあなたの家族は、怖がりだった。

直接話して拒絶されるのが怖い…けれど、繋がりを断ちたくなくて…きっと、この手紙を送っていたのね。


お義母様からの手紙がほとんどだったけど、宛名が違う筆跡のものもあったわ。

これはきっと…お義父様のものかしら?



あなたに話した事はなかったけれど、私は前にあなたのお義父様に会ったことがあるのよ。

まだ祖父が生きていた頃…平民の着るような服を着ているけれど、一目でお忍びの貴族だとわかるような人が、あなたが打ったナイフを見て嬉しそうに瞳を細めていらっしゃったの。


祖父も気づいていたけれど、あなたには内緒にするようにと言われたから話せなかった。


でも、今更私が言わなくてもあなたは気付けるはずよ。

だってもう、一歩踏み出したんだもの。

すれ違う時間は終わったの。



子爵家に向かうと決めたあなたと馬車に乗ったわ。

そこで、顔色を悪くしたあなたから聞いたのは私の死因。


そっか…病死じゃなかったんだ。

事故に遭うなんて、思ってもみなかったな。

でも、あなたが無事で良かった。

落ちた馬車から振り落とされたのは私だけみたいだし、きっと景色を見る為に身を乗り出していたのね。

だから何も気にする事ないわ。

ごめんなさい…あなたを遺して逝ってしまって…心の準備も何も出来なかったよね。


夜、2人で星を見た。

建物が周りに無い分、街で見るよりもっと綺麗に見えたわ。

私を亡くしてから、あなたはずっと1人で星を見ていたのだろうか。

あなたをギュッと抱きしめたら、もっと強く抱き返された。


この幸せな時間は、あともう少し。





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