第11話 深夜の密談

 時刻は23時半。

 両親は寝室にいる。起きているのは有沙と司だけ。二人はテレビが消された、シーンとしたリビングで赤いソファーに並んで座っていた。

 時計の秒針の無機質感漂う音だけがリビングルームに響いていた。 

 有沙は甘ったるい声色で司に言った。

 「ねぇ、学校どうだった?わたしはまあまあ楽しかったよ。入学式に遅刻したのは別にして」有沙は中学生活初日の感想を言ってから、司のせいで遅刻したのを、さり気なく、指摘するのも忘れなかった。

 「ああ、なんとも思わなかったよ。おかしな女がいるのがわかっただけだ」司はとつとつと話た。

 「おかしな女って誰?」有沙は言った。

 「山本美咲という女と三階堂あまねという女だ」司はゆっくりとした動作でソファーに背をもたせかける。

 「具体的に言って」有沙は興味を示した。

 「どちらも気が短い」司は薄く笑った。「どちらかと言えば三階堂あまねの方がややこしいな」司はそう言うと、立ち上がり、有沙に寝るぞ、と言った。

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