第4話 双子ちゃん、入学式で遅刻する

 「急がないと、走ろうよ」

 中野有沙がもう遅刻するという焦った表情で隣にいる双子のお兄ちゃんの中野司に急き立てた。

 「先行っとけよ、あとから行くからさ」

 司はそう言うとポケットからマルボロを取り出し一服した。彼は遅刻する気満々だった。有沙はそれを見て、「ああもうっ」と地団駄を踏んだ。転校してきて初日から遅刻するのはやばい。しかも今日は入学式なのに。有沙はガックリと肩を落とした。

 

 中野有沙と司の双子はこの春、東京から引っ越ししてきた。父親の転勤による引っ越しだ。

 


 このあと二人は入学式に途中から入り、担任の先生に初日からこっぴどく叱られた。

 しかし同じように遅刻してきている女子生徒が一人いた。その女子生徒は目つきが悪く、背中が丸まっており、姿勢が悪い。おまけに口も悪く先生に反抗する姿勢を最後まで崩さなかった。名前は三階堂あまねというらしかった。有沙はその名前を聞き変わった名前だなと思った。

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