第2話 幼馴染みの野村修二

 春のポカポカした陽射しを浴びなが、勇気は通学路である、閑静な色とりどりの住宅街を歩いていた。今日は待ちに待った中学校の入学式だ。勇気の中学生活は一体どのようになるのか、勇気にはわからなかった。勇気は幼馴染みで親友である、野村修二と通学路の途中にある公園で待ち合わせていた。


 公園に入るとベンチにピカピカの制服を着た修二が脚を広げ座っていた。手には扇子を持っている。

 「おう!勇気!」

 「よう、修二」

 勇気は片手を上げ、ニヤっと笑った。修二はヘラヘラしていた。

 野村修二は勇気の幼馴染みだ。そしてもうひとり女の子の幼馴染みがいて、小学生の時はいつもその三人で遊んでいた。そしてたまにだが、妹の聖奈も遊びに加わったりしていた。


 ふたりは肩を並べダラダラと中学校へ歩きだした。修二は背が高く、ガリ又歩きだ。そのことをからかうと彼はいつもヘラヘラしている。中学校では一年の時にスキー合宿に行くが、その時彼はボーゲンができるだろうか。ガリ又だと難しいんじゃないか。勇気はそんなことを考えて、ニヤニヤが止まらなくなっていた。

 「お前、なにニヤニヤしてんっ?」修二がおもしろがるように言った。

 「いや、なんでもない」勇気はカバンから水筒を出しコップにお茶を入れ飲んだ。

 「なあなあ、お前スマホ買ってもらった?」修二は扇子で手のひらを叩きながら言った。

 「買ってもらったで」勇気は言った。

 これ俺のラインのIDと修二はメモ用紙を渡してきた。

 「帰ったら登録するわ」勇気は言った。

 「それさ、聖奈にも渡しといて」修二は急にむくれたようにボソリと言った。

 「わかった」

 勇気は歩きながら思った。修二が聖奈のことが好きなのだ。でもそれを理由に修二をからかったりしなかった。勇気は修二の気持ちを大切にしようと思った。

 やがてふたりは住宅街の頂上にある中学校にたどり着いた。この中学校からは晴れていると六甲山や神戸、大阪湾などが一望できる。

 勇気は中学校生活に期待を膨らませた。

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