梅雨寒

 この涼しさを梅雨寒という。とそれは五歳の記憶にある。着るものは薄手に替わったのに雨は冷たく何となく落ち着かない。温もりを欲する子供の本能が騒ぐのか。肌に残る記憶はそして小学校の宿泊学習の霧の森へと辿り着く。寒かった。ずっと雨だった。年毎通うこれは記憶の散策路。仄暗い私だけの道。

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