堕天使と悪魔
夏休みも終わって今日から授業だ。
まだ蝉の聲はうるさいし、ちょっと動いただけで汗が滲んでくる。
夏休み中は暑さから避難ばかりしていたから、授業中眠気に襲われる。
眠気覚ましに顔を洗おうと教室をでた。
建築学科の前を歩いていたら、亜香里の姿が無い事に気づく。
担任が居たので声を掛けてみた。
「亜香里は今日、休みなんですか?」
「あぁ亜香里か? 亜香里は今朝、病院に入院したらしいぞ。」
そのたった一言で眠気なんて無くなった。
そして俺はどうしたらいいのか分からず、亜香里の事ばかり考えてしまった。
家に帰り母さんから
「亜香里ちゃん入院したらしいよ。」
と言われ気が動転した。
もし、亜香里が死んでしまったら俺はどうすればいいんだ?
やっぱり俺が亜香里を殺した事になるんだよな?
そんな事があってたまるか!
しっかりしろ岳!
俺は気を落ち着かせる為に洗面台で顔を洗う。
ふっと鏡を見たら鏡の中の俺が笑っていた。
そして鏡の中の俺は俺に向かって語りだした。
「大変そうだな、岳。俺が替わってやろうか?」
「何を言ってる?」
「亜香里が死なない様にしたいんだろう?」
鏡の中の俺は面白そうに俺を見て微笑んだ。
「俺のせいで亜香里は死ぬのか?」
「どうだろうな? だか俺なら亜香里を死なない様にもできるぞ!」
「そんな事が出来るのか?」
「そうだな・・・ 悪魔と契約して岳のその身体を俺に渡せば死なない様にしてやってもいいぞ!」
「身体を渡すって?」
「あぁ つまり
「交代した後で、まさか亜香里に何かするつもりなんじゃないだろうな?」
「契約の条件に"亜香里に関わらない"という事を付け加えてやる。さぁ どうする?」
悪魔が亜香里と関わらないなら断る理由は無かった。
俺は迷わず決断した。
「本当に亜香里が助かるなら・・・
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