受験、そして・・・
お正月といってもいつもの年だったら、ただダラダラと過ごすだけだ。
でも今年は違う。
今年は緊張の糸がピーンと張り詰めたままだ。
ただ元旦だけは少しはリラックスして気を抜く様に両親に言われた。
元旦は亜香里と二人で山の上の神社まで合格祈願の御守りを貰いに行く事になった。
「今度は御守り間違えないでね!」
亜香里に京都での事をネタにされ、俺は少しだけ不機嫌になる。
でも、一緒にお参りにつきあってくれて香里には感謝している。
俺は御守りを手にして覚悟を決めた。
お正月も明けると私立高校の入試が始まった。
今までの頑張りが実を結ぶはずだったのだが・・・
点数に関しては思った程伸びなかった。
そして最終目標のさいたま高専の入試が始まってしまった。
準備は十分にして来た筈なのに不安ばかりに包まれる。
俺は亜香里と同じ建築学科を第一希望にする。
でも俺はまだ亜香里には及ばない様だ。
第二希望の物質光学科になってしまった。
結果が分かった日は悔しくて亜香里に合う事が出来なかった。
でも後で会った時、亜香里は俺に笑顔を向けてくれた。
「おめでとう岳、頑張ったね。約束守ってくれてありがとう。春からまた一緒に頑張ろ。」
亜香里の屈託のない笑顔に今までの苦労が報われた気がした。
それからの一ヶ月間、今までの鬱憤をはらす様に遊んだ。
まるで一生分遊び尽したんじゃないかと思える位遊びまくってやった。
そして迎えた4月・・・
さいたま高専の入学式、亜香里と同じクラスで写真撮影したかったが・・・
それは儚い夢になってしまった。
入学式も終わり、亜香里と一緒に帰ろうと声をかけたら・・・
亜香里は爆弾発言をする。
「私、アキバ系アイドルのオーディションを受けようと思う。ここなら授業も単位制だからアイドルと両立出来ると思うの!」
さいたま高専は亜香里の夢の通過点だったんだ?
俺にとっては一つの目標だったのに・・・
また亜香里と俺のレベルの差を痛感させられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます