クリスマスイルミネーション
俺には双子の兄が居たなんて・・・
まるで実感が湧かなかった。
まさか昨日見た夢が現実?
俺は堕天使で俺の守護霊が武(悪魔)なのか?
俺は"死神の翼"なんて爆弾を抱えているのか?
実感が湧かない事ばかりだ。
だか、今の俺にはこんな事を考えている時間が無い。
この事は忘れよう。
できる事なら永遠に。
秋の学校行事も他人事の様に過ぎて行った。
12月の学力テストで俺は初めて"さいたま高専''の入試安全圏を獲得した。
あと2ヶ月だ、あと2ヶ月我慢すれば・・・
街はあちらこちらにクリスマスイルミネーションが輝きお祭りムードだ。
俺も亜香里と並んであの灯りを見ながら歩きたいな。
塾の帰り道そんな事を考えながらトボトボ歩く。
「岳、塾の帰り?頑張ってるね!」
不意に後ろから声をかけられた。
「えっ亜香里?亜香里も塾からの帰り?」
「ウンそうだよ。岳に負けてられないからね。」
ニコッと笑う亜香里の笑顔を久々に見ることが出来て今までの寂しさが一気に吹き飛んだ。
「ねぇ、あのイルミネーションのある通りを一緒に歩いて帰らない?」
「ウン 俺も亜香里と一緒にあの通りを歩きたかったんだ!」
亜香里と手を繋いで歩くのは久々だった。
息が白くなる程寒い夜だが、亜香里と繋いだ手は暖かかった。
サンタクロースって本当に居るのかもしれない。
大きなツリーのイルミネーションの前まで来たらディープキスしているカップルに遭遇して・・・
亜香里も俺も見ないフリをして通り過ぎた。
「ねぇ岳?岳も私とキスしたい?」
意表を付く質問に俺は咳込んでしまった。
「亜香里が良いなら・・・ したい・・・」
「一緒に同じ高校に行けたらね・・・」
亜香里は頬をあかくしながら呟いた。
「今まで頑張って来たんだ。もう少しだから頑張るよ。」
「それじゃ〜 合格出来る様におまじないしてあげる。目をつぶって!」
「分かった。 これでいいか?」
俺の頬に柔らかい温かいモノが触った。
「エッ? 亜香里・・・」
「岳は頑張ってるからね!おやすみなさい。」
今日は最高のクリスマスになった。
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