【マスター権限】ってなんですか? 無能な上にスキル無し、彼女もNTRれ追放された僕だけど、ダンジョンで出会った可愛い奴隷少女のご主人様になって無双します。今更戻って来いと言われても国作りで忙しいので!
第17話 説明が面倒なので全部スキルのせいにしておきましょう
第17話 説明が面倒なので全部スキルのせいにしておきましょう
「でも、どうして急に戦えるようになったんだろう?」
不思議に思ってクリスタは呟いた。戦っている最中も感じていたが、明らかに本来の実力以上の力を発揮していた。
「それは勿論、マスターがすごいからですよ!」
ふふんと、興奮冷めやらぬ様子で、満足げにシュガーが胸を張った。
「……ねぇ、シュガー。君、僕になにかしたでしょ?」
そうとしか考えらずに、クリスタは聞いた。
「ギクッ……そ、そんな事ないですよ~?」
露骨に視線を泳がせると、シュガーは流暢に口笛など吹きだした。
「やっぱり。そうなんじゃないかと思ったんだ」
納得して、クリスタは肩をすくめた。
「あああああ! 自我が憎い! 下手に人格なんか持つから人間味が出てしまう!?」
頭を抱えると、シュガーは涙目でクリスタに縋りついた。
「違うんですマスター! 確かに私はマスターにちょっと色々しちゃいましたけど、でも、戦ったのはマスターで、大事なのは勇気とか、私を助けようとしてくれた決意とかだと思うんです!?」
「なにしたの?」
じっとりと、ジト目になってクリスタは聞いた。
「説明するのは難しいんですけど……」
ぶつぶつと、シュガーは生体リンクがどうとか、ナノマシンの融合がどうのと呟いた。
「つまりですね、同化スキル……みたいな? マスターは私のマスターなので、私に出来る事は大体マスターも出来るんです」
「シュガーのスキルを僕も使えるって事!?」
驚いて、クリスタは言った。
「大体そんな感じですね」
「本当に? そんな気は、全然しないんだけど」
「マスターは人間ですし、制御系が違うので、今すぐ全部を自由に使える訳じゃないんですけど、練習すればどうにかなるかと! 使い方は、イメージしてエイ! って感じで」
「本当かなぁ?」
信じられないが、嘘をつく理由もない。というか、なんでもありのシュガーが言うなら、きっと本当なのだろう。試しにクリスタは、光れと念じてみた。
途端にクリスタの肌がシュガーのように白く発光した。
「うわぁあああ!?」
驚いて、クリスタは飛び跳ねた。顔も光っているので、物凄く眩しい。
「ぼ、僕、光ってる!? これ、どうやって消すの!?」
あわあわと慌てると、クリスタの混乱を反映したのか、身体が七色に光り出した。
「うぷぷ、ゲーミングマスターですね。えっと、落ち着いて、消えろって念じれば大丈夫かと」
「消えて! 消えて!」
声に出すと、身体の発光は止まった。
「びっくりした……すごいねこれ」
「
感心するクリスタを見て、嬉しそうにシュガーは言った。
言ってから、しまったという風に顔をしかめて補足する。
「で、でもでも、これはマスターの力というか、アレですよ! マスターはマスター権限を持つマスターなわけで、私の存在は全部マスターの物って事です! だから、私の力だってマスターの力なわけで! その、あの……」
シュガーは、胸元で指をイジイジしながら不安そうな視線を向けて来る。
「平気だよ。これがシュガーの力でも、君の役に立てるなら、それでいいんだ。多分僕は、君の力に嫉妬してたんじゃなく、君の力になれない無力な自分が嫌だったんだと思う」
今ならば、クリスタは素直にそう思えた。これがシュガーによって与えられた力だとしても構わない。むしろ、彼女がくれた力だと思えば、愛おしくすら感じられた。
「マスター……」
涙ぐんで、シュガーは虚空から取り出したハンカチで鼻をかんだ。
「今の台詞、超かっこよかったです。永久保存版決定です!」
涙ながらに言うと、虚空からクリスタの声が響いた。
『平気だよ。これがシュガーの力でも、君の役に立てるなら、それでいいんだ。多分僕は、君の力に嫉妬してたんじゃなく、君の力になれない無力な自分が嫌だったんだと思う』
「ちょ、なに、今の!?」
「音声スキルで再生しました。もう、何万回でも聞きたいです」
『平気だよ。これがシュガーの力でも、君の役に立てるなら、それでいいんだ。多分僕は、君の力に嫉妬してたんじゃなく、君の力になれない無力な自分が嫌だったんだと思う』
「やだ! やめて! 恥ずかしいよ!」
「え~! かっこいいじゃないですか!」
『平気だよ。これがシュガーの力でも、君の役に立てるなら、それでいいんだ。多分僕は、君の力に嫉妬してたんじゃなく、君の力になれない無力な自分が嫌だったんだと思う』
「やめてってばぁ!?」
恥ずかしくて、クリスタは泣きそうだった。
「あはははは。ともあれ、これで当分食料は大丈夫そうですね」
無邪気に笑うと、シュガーはおもむろに地べたで死んでいる大蝙蝠を拾い上げた。
「食料ってシュガー、これ、食べる気!?」
驚いて、クリスタは叫んだ。
「貴重なたんぱく源です。あ、病気とか寄生虫は上手く処理するので大丈夫ですよ?
それ以前に、蝙蝠なんか食べるんだ、という意味だったのだが。
「料理スキルまで持ってるの?」
もう、ただただ驚くばかりである。
「テヘ♪」
笑ってごまかすと、シュガーの手の中の大蝙蝠の死骸が、彼女の皮膚に吸い込まれるようにして消え去った。
「…………それもなにかのスキルなんだよね?」
もう、諦めの気持ちでクリスタは尋ねた。
「
呑気に笑って、シュガーは次々と大蝙蝠の死骸をどこでも倉庫に送り込んでいく。
それを見て、クリスタはお手上げのポーズを取った。
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