参考資料:登場人物の史実的まとめ

 今更かい、というのもありますが、中国側での登場人物が増えてきましたので、この人物の史実的な動きがどうだったのかというのをまとめてみました。明・清の合間だと知名度がある人は鄭成功と呉三桂くらいですからね。

 一部、まだ出てきていないけれども、確実に出る人は出しています。

 ただし、清初はものすごい人が多いので、見落としている有力どころがいる可能性もありそうです。もしいたら、「バタフライ効果で目立たなくなったんだよ!」と誤魔化します(笑


[鄭氏・東寧政権]

◎鄭成功

鄭氏勢力の筆頭となり、反清運動の旗頭となる。1658年、大規模な北伐を起こして南京攻略に乗り出すが失敗し、台湾を占領して独立政権を築いたが、マラリアで陣没。

・この話を読む人で、鄭成功を全く知らないという人はあまりいないと思いますが、よくよく知るとかなり強引で言うことを聞かない感じの人。常時、夷陵の前の劉備さん状態みたいな人だったので目立つ展開にすると失敗しでかしそうなイメージというのはありますね(汗


◎鄭彩・鄭聯兄弟

鄭芝龍が明に降伏した後、一族内で有力な勢力となるが、鄭成功に鄭聯が暗殺されて勢力を吸収された

・本編でもほぼ史実通りです。違うのはトドメを刺したのが十兵衛であるくらいで。


◎甘輝

鄭成功の側近として活躍するが、南京攻略戦で清の捕虜となり、処刑された。

・いわゆる忠臣。国姓爺の歌舞伎にも出ています。


◎施琅

史実では早々に鄭成功と意見衝突を起こし家族を処刑されて清に再降伏。結構長生きして清と台湾の最終決戦となった澎湖海戦(1683年)では清軍を率いて、最終的な勝利に貢献した。

・最終的に鄭成功政権の息の根を止めたので悪役になっても不思議はないですが、清に走った理由があまりにも「鄭成功それはないだろ」的なものなのであまり非難されない人。台湾にあった鄭成功の像の前で涙したという逸話もあります。


◎劉国軒

鄭成功死後の東寧側の主力指揮官。数に劣る台湾側をまとめて善戦していたが、澎湖海戦では敗北。清に降伏した。

・最終的な敗軍の将ですが、調べてみると「これだけ不利な状況でよく頑張ったよね」な扱いをされています。


◎陳永華

鄭成功の息子鄭経の教師となり、鄭経の時代以降東寧政権の主力となり、鄭氏の諸葛孔明とも呼ばれる存在となった。反清組織・天地会の創始者とも言われている。

・やたらと逸話が多い人ですが、それらを取り扱っていると主役を食ってしまう可能性もあるので程ほどになりそうです。


[清朝]

◎フリン

順治帝。清の三代皇帝で当初は幼年であったためドルゴンの補佐を受ける。北京を占領して清を中華政権として決定づけ、ドルゴンの死後親政に乗り出す。

・ドルゴンと康熙帝が凄すぎて何となく浮いてしまう皇帝。史実では水軍に対するこだわりはありません。


◎ドルゴン

太祖ヌルハチの子で、兄ホンタイジの代からナンバーツーとして清を支える。フリンの即位を後押しし、実質上の最高権力者として君臨。明滅亡後の処置をうまく行い、清の勝利に大きく貢献したが、死後専横の罪ありとして弾劾。復権するのは乾隆帝の時代になる。

・多少寿命を伸ばそうかとも思ったのですが、どうも過労死みたいな感じだったのでどうしようもないかなと史実通りにしました。


◎洪承疇

明の総司令官として東北に赴任したが、捕らえられて降伏。その後、清の主力として南明征伐に乗り出し、勝利を決定づけた。

・最終勝利の直前に引退したのと、康熙帝にあまり評価されていなかったぽいところはありますが、明らかにこの人がMVPです。ただ、引退したことで三藩の乱とかと無縁でいられたので結果オーライなのかもしれません。


◎ジルガラン

ヌルハチの弟シュルハチの息子。清初の戦争の多くに参加し主力として戦った。ドルゴンの死後政権を奪うが、そこから特別なことをすることはなかった。

・そんな人もいますよー、というくらいの存在(酷い)


◎呉三桂

明末清初の梟雄。清に降って山海関を解放し、その勝利に大きく貢献した。南明政権の滅亡にも大きく貢献し、雲南で王として君臨した。フリンの没後康熙帝に警戒されて三藩の乱を引き起こすが劣勢を強いられ憤死に近い形で死亡した。

・永暦帝処分のところはやりすぎ感もあるので、明に対して復讐心みたいなものを持っている扱いにしています。理由は後々……


◎孔有徳

明末の武将。呉三桂と前後して清に降伏。以降主将の一人として江南で戦った。桂林を陥落させて永暦帝を逃亡させたが、後、李定国に完敗して自決した。

・明末清初という点では下の二人より目立っていますが、戦死したので三藩に入らず世界史で語られることはまずありません


◎尚可喜と耿継茂

明末の武将。尚可喜と耿仲明ともども孔有徳の同僚格だったが、耿仲明は罪を得て自殺してしまい、以降息子の耿継茂が継承した。

・二人ワンセット。別々にしてやりたいけれども、特にこれという話がないのでワンセットにせざるをえない。ちなみに三藩の乱を起こしたのは二人の息子の尚之信と耿精忠です。


[南明・永暦帝政権]

◎永暦帝

南明の最後の皇帝。各地を流浪して最終的にはビルマに逃げたものの、清の圧力を受けて呉三桂に引き渡され処刑された。

・移動しすぎなんじゃー、本編の進行と齟齬をきたすじゃろー、と叫びたくなる程移動していました(汗


◎李定国

南明の将軍として活躍。一時は江南に大勢力を築いたが、後、清の圧迫を受けて雲南に押し込められる。永暦帝の死去を聞いて程なく病没。

・少数部族の兵士をまとめて編成していて、軍規がしっかりしていたとか。勝ちっぷりをみていると正直鄭成功より凄いんじゃないかとも。


◎孫可望

永暦帝の庇護者として君臨していたが、のち、自分が皇帝になろうとして永暦帝と対立して李定国に敗北、清に降伏した。

・この人が呼びこんだ対立が南明滅亡に決定的に貢献したのは間違いなし。もちろん、この人がいなかったら勝てたのかというとそうでもなさそうですが。

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