2話
サラサラと暗めの茶色い髪をなびかせて
端正な顔は周りの目を引く
切れ長の瞳は青みを帯び
神秘的な佇まいに
どこか近寄りがたい空気をまとう
腕時計を見て早足になる
その先を遮る腕が伸びた
「っと、君こっち側じゃないでしょう」
驚いて瞬時に身構えると
背の高いかなり高い短髪は銀色だろうか
生成り色のつなぎに
金色のジャラジャラしたネックレスが特徴の趣味を疑うような男性だった
「こっち側じゃないよね、君」
こっちって
自分に向けられた言葉が突き刺さる
「先を急ぐので」
通り過ぎようとしたとき
彼の長い脚がひゅんっと自分の目の前に飛んでとっさに空中バク転してしまった
あ!
「ほーらね?普通の人空に浮かばないでしょう」
…
ぎゅっとくちびるを噛む
拳を握り僕は構えた
■
空中から相手を見る
背の高い相手は地上から自分を見上げている
「こっち側まよいこんでんだろ。早く帰れよ」
「迷ってはいないです。ただ約束があるので先を急ぐんですが」
やれやれとその男はため息をついてくびをふった
「俺はワンダーランドなの!だから所属あかしてくれ」
そういって手のひらからホログラムのような光を放ち
ワンダーランドのWマークがうかんだ。
「こっち側じゃないなら身分証か通行証もってるだろ?見せてみな」
……
「証なんか持っていない」
とっさに構えたが間に合わない!
自分の目の前に黒いスーツ姿のよく知っている背中が遮る
「ネメシス様」
地上から攻撃した彼はうずくまって転がっている
「私のお気にいりに傷をつけるとは」
赤い瞳に黒いスーツ
空気中の圧力が重くズシリとのしかかる
「…ネメ…シス」
指先をピクリと動かす
!!!
閃光弾!
「案件違うけどこの状況でこんな事件見過ごせないわ」
赤いメッシュが入る黒髪に
軍服姿の女が
立ちはだかる
「道化師!無事?生きてる?死にゃしないわよ」
砕けた言葉遣いの中に
眼差しに強く鋭さを秘め
ネメシスを睨みつけた
「理をまげたわね!ネメシス!そのそばの子は、人間の器ではない。動物を…」
「美しい貴女に逢えて嬉しく思う。」
ネメシスは腕をふわりと青年に被せ、スーッと姿を消してしまった。
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