2台ぶんの駐車場(車持ってない)

車のある生活というものに微塵も興味がなかった。物心ついたときから家に車はなかったし、生まれてこの方車がなくても困らないような地域にしか住んできていない。


徒歩圏内で飲み歩くのが人生の楽しみなのであって、車で遠出したって酒が飲めないのではなんにもならない。旅行にいったってそうだ。友達3人と北海道にいった際だって、レンタカーなんか使わずに札幌〜小樽を飲み歩いていた。妻と沖縄に1週間近くいったときだって、前半はさすがにレンタカーを借りて中部の古宇利島に行ったが、後半は車を返して那覇で飲んだくれてた。グーグルマップのタイムラインで確認したところ、車を借りていた日すら、宿とビーチを往復して飲んでいただけの日があったことがわかった。


家の購入を考えた際にも駐車場なんてのはまったく検討要素ではなかった。マンションを見学していると駐車場がいくらだみたいな情報もあるのだが、借りる気もないので関心もない。


そんなぼくは今、駐車場が2台ある家に住んでいる。決して土地が広いというわけでもないのだが、うまいことコンパクトカーと普通車がとまるようになっている。近隣では1台とめるのもやっとな家が多いので、恵まれている条件だ。しかしぼくは車を持っていない。ミスマッチも甚だしいと思っていたが、暮らし始めると空きがあるのは良いことだと思うようになってきた。


今日だってそうだ。前の家の近所でいつもワインや日本酒を買っていた酒屋が、車でやってきてくれて、いい感じのワインと日本酒を10本届けてくれた。近所のパーキングでとめてまで来てくれとはいえないので、スペースが余っていると頼みやすくていい。


人を呼ぶにも空きがあるに越したことはない。小さい子どもがいる友人が来るときなんかも気兼ねがなくていい。近くの駐車場を探してもらったりするのはやはり気が引ける。車以外にも、大量の自転車がやってきたって近所迷惑にならない。そんな学生みたいな集まりをやることがあるのかはわからないけど。


いらないと思っていたスペースも、あったらあったでメリットがあるものだ。ちなみにそうはいっても2台まるごと空いているのはどうかと思っていたので、今車を申し込んで納車を待っている。

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