◇物語選択-Forking;Trigger-◇
①⇒〖なにもせずに一晩明かす〗
『なにもせずに、そのまま寝ちゃいましょ』
『えッ!?』
『なんで驚くの。折角ベッドがあるんだし、何も考えず、無駄な体力も使わずに寝ちゃえば朝になって助けが来るでしょ』
『確かにそうだけど⋯⋯助け、来るかなぁ?』
『どちらにせよ、ぐっすり寝れば頭も冴えるでしょ。ほら、空君は床で』
『しかも床前提なんだ⋯⋯。いや、男としては当然なんだろうけどさ』
そうして。わたしと空君は各自寝る準備を済ませて、瞼を閉じた。
⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
『寝れない』
『羊、数えれば?』
『ジンギスカンが1個⋯⋯』
『なんで調理されて出てくるの⋯⋯』
◇
検証失敗。
モニターを前に、二人は溜め息を重りに肩を落とす。
「うーん、これは無しじゃない?」
「だよなぁ。だってオチ思いつかないし」
「どうする? 殺す?」
「殺しちゃおっか」
ターン、と。軽快に響く─────
◆
朝⋯⋯かは不明だけど、目が覚めた。
時間を確認する方法が無いのでどれくらい眠っていたのかは分からないけど、少し頭がぐらぐらするので、随分と長い間寝ていたと思う。
『空君、起き───れ?』
視界が鮮明になっていく。
目を擦ると同時に覚醒していく意識。
しかし、呼び掛けに返答は無く。そも、欠けた言葉は呼び掛けですらなく。
直視した現実に、語彙とやらは泡と消えていったのだ。
『ちょ、ぁ、え、空?』
彼の名前ではない。青天の霹靂なんて言葉も生易しい空想非現実。わたしが寝ていたはずのベッドは、青空を浮遊している。高度なんて小難しい単語はよく分からないが、雲が下に見えている時点で相当な高さだろう。
空飛ぶ絨毯よろしく、このベッドはジェットを積んでるわけでもないのに飛んでいる。先ほどの一室も充分ファンタジーの域だが、これに関しては度を過ぎるにも程がある。
『お、おち、』
と。恐怖のあまり呂律が回らないわたしを嘲笑うかのように、
『ぁ─────』
落ちた。
音が消えた。
視界が墜ちた。
突然のブラックアウト。次に、本当のわたしが目覚めることはなく、ただ一瞬、真っ赤な血を噴水みたいに撒き散らすわたしを浮遊霊のように見下ろしてから、意識はぷつりと消えた。
〘
───────────────
目次画面に戻り、
選択肢を選び直して下さい。
下にスクロールすると、
選択肢②〖部屋を破壊する〗に続きます。
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