第18話 もっと今を大事にしたらどうだ?
「よくさあ、バトル漫画とかでやたら重い服を着たりする修行があるじゃん?」
迷宮の安全地帯。休憩中に俺は、ふと蓮華へと話しかけた。
俺の言葉に、タブレットで漫画を読んでいた蓮華も顔を上げて答える。
「あー、あるある。重い甲羅を背負ったり、全力で霊力を放出し続けないと満足に動けなくなるヤツだろ?」
「そうそう、ソレ。……俺、今さあ、それを実感してるわ」
冒険者部の皆と別れ、四ツ星昇格試験を受け始めてから十日後。
俺は、早くも38階層まで到達していた。
「いやあ……こうして普通のCランク迷宮に潜ると、学校の迷宮が如何に地獄だったのかがわかるわ」
迷宮のフィールドは、何の変哲もない地下迷宮型で、無駄に広大な砂漠も、視界が白く染まるほどの吹雪も、一歩足を踏み外したら即死確定のマグマも流れておらず、小部屋での戦闘なので敵の数も限定的。戦闘のタイミングも自分で選べる。
メイン効果こそ衰弱デバフとやや鬱陶しいが、それは持続回復魔法で相殺できるし、何より厄介なスキル封印の階層がほとんどないのがありがたい。
メインルートの階層数も40階層と少なく、複数回廊でもないこともあって、たった十日で踏破寸前まで来ることができた。
四ツ星になるための最大の関門であるCランク迷宮の単独踏破が、約十日……。
「いつの間にか俺ってこんなに強くなってたんだなあ」
「なーに言ってんだ?」
俺がしみじみと頷いていると、蓮華が後ろからのしかかってきた。
そのまま俺の首を腕で締めるようにして、言う。
「強くなったのはお前じゃなくて、アタシらな」
「ぐ……」
ニヤニヤと厭味ったらしく笑う蓮華に、しかし俺はぐうの音も出なかった。
実際、こんなにも楽にここまでこれたのは、カードたちの成長のおかげが大きかった。
ランクアップして大幅にパワーアップした蓮華はもちろんのこと、この数か月でレギュラーメンバーのすべてが新しいスキルを取得するなどの成長をしていた。
その中でも、とりわけ大きく成長したのは、この四枚。
【種族】ヴァンパイア(イライザ)
【戦闘力】1680(MAX!)
【先天技能】
・膏血を絞る
・夜の怪物
・中等攻撃魔法
【後天技能】
・フェロモン
・奇襲→暗殺(CHANGE!):攻撃時、相手に気づかれていない場合、相手の防御力を割合で無視し、ダメージに+補正。
・献身の盾
・精密動作
・高等補助魔法
・魔力強化
・詠唱短縮
・直感
・フィンの親指
・限界突破(NEW!)
【固有技能】
・マイフェアレディ(教導コピー中):敵味方の内一体の後天スキルを一つコピーすることができる(?) 絶対服従、多芸、明鏡止水を内包(?)
(多芸:新米メイド→メイド(CHANGE!)、演奏、罠解除、武術、騎乗(NEW!)を内包する)
(メイド:メイドに必要な技能を収めている。料理、清掃、性技、礼儀作法を内包)
(騎乗:乗り物や動物の操縦に対する一定の知識と技能を持っている。特定行動時、行動にプラス補正)
【種族】ライカンスロープ(ユウキ)
【戦闘力】1600(MAX!)
【先天技能】
・月満つれば則ち虧く
・狼に衣
・本能の覚醒
【後天技能】
・忠誠
・小さな勇者
・真なる者
・限界突破
・真眷属召喚
・縄張りの主
・高等忍術
・騎獣(NEW!):人や物を乗せやすい体勢を維持したまま、普通に動くことができる。騎乗スキルを持つ乗り手のステータスに自身の攻撃力と俊敏性を加算することができる
・物理強化(NEW!):物理的な攻撃の威力を強化する。
・見切り(NEW!)
【種族】サキュバス(メア)
【戦闘力】1000(MAX!)
【先天技能】
・巫山の夢
・胡蝶の夢
・淫魔の肌
【後天技能】
・小悪魔な心+一途な心
→ファムファタール(CHANGE!):時として相手を破滅させてしまうほどの魔性の魅力をもった運命の女。その種族の限界値まで容姿を美化する。マスターへの好感度でステータス増減。自由行動に対する極めて強いプラス補正。精神異常無効。
・友情連携
・中等魔法使い
・高等状態異常魔法
・人を呪わば穴二つ
・生還の心得
・霊格再帰
・耐性貫通
・詠唱短縮
・高等攻撃魔法(NEW!)
・魔力強化(NEW!)
・魔力回復(NEW!)
【種族】ドラゴネット(マイラ)
【戦闘力】590(MAX!)(390+霊格再帰分50×4)
【先天技能】
・小竜玉:生命力を生み出し貯蓄する竜の心臓。
・竜鱗:極めて頑丈な竜の鎧。物理攻撃及び魔法攻撃に対する耐性を持つ。
・竜息:竜の代名詞とも言える技。魔法をブレスとして吐き出すことで、魔法の範囲・威力を強化し、詠唱無しで放つことができる。
【後天技能】
・零落せし存在→霊格再帰(CHANGE!):ドレイク(480)、ワイバーン(450)、バジリスク(430)、東洋龍(420)。数値は、初期戦闘力。
・滅私奉公
・初等魔法使い
・新米メイド(NEW!)
・戦術(NEW!):戦術に対する一定の知識と技能を持っている。特定行動時、行動にプラス補正。
まず、特筆すべきは、イライザの固有技能の定着と、限界突破の習得だろう。
レース以来、俺はマイフェアレディの発動安定化に努めてきた。
その甲斐あって一月も経ったころには安定して発動できるようになり、さらに一月も経つとカードに固有技能の表示が定着した。
以降は、俺がリンクしてない時でも他のカードのスキルをコピーし続けることが可能となり、試しに限界突破をコピーさせ続けていたところ、ついに限界突破のスキルを習得するに至った。
これは、二重の意味で朗報であった。
一つは、コピーしたスキルであってもちゃんと熟練度が蓄積されること。もう一つは、限界突破が熟練度で習得できるスキルであることが、これで証明されたからだ。
つまり、時間はかかるが俺の持つすべてのカードに限界突破のスキルを覚えさせることも可能だということだ。
今はその第一段階として、イライザに教導スキルをコピーさせ、習得させようとしているところだった。
残りの三枚についても、ユウキとメアもそれぞれいくつもの新しいスキルを習得してくれたし、そして何より、これまで頑なに名づけを断っていたドラゴネットが、ついに名づけを受け入れてくれ、四つの霊格再帰を手に入れた。
名前の由来は、ギリシャ神話の怪物キマイラから。複数の霊格再帰先を持ち、いくつもの姿と能力を使い分ける彼女には、かの怪物の名が相応しい。
四つの霊格再帰を得たことで戦闘力もその分上昇し、零落スキルにより失われていた竜息と初等魔法使いのスキルを取り戻し、さらにイライザの指導により複合スキルである新米メイドを得た。……戦術は、趣味の将棋が高じたのだろうか?
竜のブレスは、ドラゴンを強種族たらしめている強スキルである。自身の魔法スキルをブレスとして撃ちだすことができるこのスキルは、通常は詠唱が必要となる魔法を、息を吸って吐くという二工程まで短縮し、その威力・範囲ともに強化できる。
戦闘力も500を超え、霊格再帰も含めれば一軍メンバーたちに混ざっても見劣りしないレベルとなった。
この他にも蓮華がドジスキルを解消したり(残念ながらドレスのように上位スキルには変化しなかった)、鈴鹿が地味に気配遮断スキルを新たに覚えたりしているのだが、特に大きい変化となるとこの四枚となる。
故に、この快進撃はカードのおかげ、と言われたら決して否定できないのだが……。
「いやでも、俺も成長はしてるだろ? マルチシンクロも結構できるようになってきたしさあ」
モンコロレースの時は、同時に三枚程度しか維持できなかったマルチシンクロだが、今ではなんとか八枚同時にシンクロできるようになっていた。
枚数を三枚程度に絞れば、フルシンクロさせることも可能だ。
カード……特にイライザさんの成長と比べればささやかではあるが、俺もちゃんと成長しているのである。
「ま、頑張りは認める」
それは蓮華もわかっていたのか、あっさりとそう頷いた。
「だろ?」
「だがお前のドヤ顔が気に入らない」
酷すぎない?
「お前、なんかちょっと怒ってない?」
「別に〜?」
いや、確実に怒ってる……というか拗ねてる反応だろ、それは。
なんかしたかな〜、と俺が考えていると、スススと寄ってくる影があった。
「そのちんちくりんは、最近あの赤毛の人間にばっか構って、私たちに構ってくれなかったことを拗ねてるんだよぉ」
「あ……」
あ、あ〜! そういうことか。
そう言えば、前もこんなようなことあったっけな。あれも確か冒険者部を作ろうとしてた頃だったか。
「拗ねてねーよ! それはお前だろ!」
「あだ! ひーん、クソガキが暴力振るうよー!」
かすかに頬を赤くした蓮華にローキックを喰らった鈴鹿が、わざとらしく縋りついてくる。
よしよしと頭を撫でてやりながら、俺は蓮華の方へと振り向いた。
「あー、悪かったよ。たしかに……最近はなんていうか、冒険者部の方にばっか目が向いてた」
「だから拗ねてねーって。ただ、まあ……お前はもっと『今』に眼を向けるべきなんじゃねーの? とは思うけどな」
「今……?」
「ああ。今だけだろ……家族で一緒に食卓囲んだり、一緒にTV見てゲラゲラ笑ったり、のんびり犬の散歩に出かけたり……そういうのができんのはさあ」
俺は、ハッと息を呑んだ。
「お前が、家族を守るために必死になってんのはわかるが、なんていうか、あー……」
「いや、大丈夫……よくわかった」
確かに、蓮華の言う通りだ。
なんでもない日常が送れるのは……今、だけだ。
アンゴルモアが始まれば、家族みんなでTVを見ることも、マルを散歩に連れて行くこともできなくなる。
それは、もしかしたら一年後も、十年後も、百年経っても……未来永劫そんな日常は戻ってこないかもしれないのだ。
ここ最近俺は、家でダラダラすることを時間の無駄と思って、冒険者部が休みの日すらも迷宮に潜っていたりしていたが……本当はそれこそが時間の無駄で、知らず知らずのうちに黄金にも匹敵する時をドブに捨てていたのかもしれない。
「そうだな……どうせあとは、主のリセマラするだけなんだし、久しぶりに家でゴロゴロすっかな」
幸いなことに、この迷宮はルート日替わり変則型であったため、主は毎日切り替わる。
おそらくは、プロクラスからは最低限千里眼の魔法が使えるカードが必要になることが故の仕様なのだろうが、俺にとっては実に好都合であった。
おかげさまで、最下層目前まで到達した今、あとは欲しいカードの主が出るまで、最下層と試練の迷宮を毎日チェックするだけの日々である。
せっかくなので期間中は泊まり込みでCランクカード集めをしようと思っていたが、それは日中ほどほどに抑えて、夜はちゃんと家に帰って家族一緒に晩御飯を食べるとしよう。
「そうそう。あと今の内に紙の漫画とか買っておいてくれよ。電子書籍とか、アンゴルモアが始まったらそのうちサービス停止すんだろ」
「あー……一応アンナが結構漫画とか買い集めてるみたいだけどな」
「それって借りもんじゃん。アタシはいつでも自分が好きな時に読める奴が欲しーんだよ。あと菓子だな。食材は結構集めてるけど、駄菓子とかはそんなに集めてねーだろ。駄菓子屋開けるレベルで買ってくれ」
「わかったわかった」
と俺は蓮華を押しとどめる。
まあ、確かにお菓子もある程度ストックは必要か。
「ねーねー! そういうことなら、メアも可愛い服とか欲し〜な〜」
「ええ?」
ふ、服……?
予想外の方向からのおねだりに、俺は困惑した。
「アンゴルモアが始まったら自由に外を出歩けるようになるんでしょー? だったら、せっかくだし色んな服着ておしゃれしたーい」
「あー……」
それは、盲点だったな。
普段の迷宮攻略じゃあ、着替える暇もないし、カードに戻すたびに恰好が元に戻るから服を着替えるという発想がなかったが……カードたちも女の子だ。いろいろと着飾りたいと思うのも当然のことか。
ふと気づくと、メアに限らずこの場にいるすべてのカードたちが、無言で俺に期待の眼差しを向けてきていることに気づいた。それは、あのイライザさんすらも例外ではなかった。
どうやら、俺が思っている以上にファッションに対する潜在的な欲求は高かったらしい。
……もしかして、これアンゴルモア後のニーズをそのまま表してるんじゃないだろうか?
となると服を買い占めるよりも……。
「……オードリー、家事魔法って服を作ったりとかできるのか?」
「はい。高等家事魔法に不可能はありません」
そう胸を張ってみせた完全無欠のメイドマスターは、しかし次の瞬間にはスッと眼を逸らし……。
「……ただデザインセンスに関しては、その限りではありませんが」
どうやら自信がないらしい。
その横でイライザが何かをアピールするかのようにこちらを見つめてきているが……うん、まあ、誰にだって向き不向きというものはある。
「ならデザインに関してはメアたちが希望を出すからさー、その通りに作ることってできる?」
「……そうですね、完成形をちゃんと示していただけるなら、あとはイメージの問題なので、はい可能です」
オードリーの返答にカードたちは「わー!」と歓声を上げた。
「それと、無から作り出すことはできませんので、材料となる糸や布などは必要になると思われます」
「となると、今の内に布とかは買い集めておく必要があるか」
「それならいっそアラクネーを手に入れてはどうです?」
そう言ったのは、アテナだった。
アラクネーか……。確かにアラクネーなら布を織ることも、その材料となる糸を出すこともできる。
だが……。
「このチビ……冷血にもほどがあんでしょ……」
鈴鹿が、アテナへとドン引きした視線を送りながら呟いた。
アラクネーは、アテナが認めるほどのギリシャ神話一の織り手だが、その傲慢さからアテナにより罰され、蜘蛛の怪物へと変えられたという逸話を持つ。
つまり、アラクネーは、ギリシャ神話に何人かいるアテナの被害者の一人だった。
「知りませんね。便利に使えるのですから、便利に使ってやれば良いのではないですか?」
非難の視線もなんのその。平然と言い放つアテナ。
ほんまギリシャ神話の神は畜生揃いやでぇ……。
まあ、実際、アラクネー一枚で服飾関連については全部解決する。値段もCランクで手ごろだし、アンゴルモアまでに一枚確保しておくとしよう。
「ところで、そろそろ試練の迷宮の方の主が切り替わる頃じゃねーか?」
「おっと……」
蓮華に言われて時計を見れば、確かにそろそろ主の切り替わる時間だった。
「そろそろお目当てのが出てくれると嬉しいんだけどなー」
モンスター自体は、結構良いのが出てるんだけど、如何せん俺と相性が悪いのがなー。
三相女神のエリーニュスとか、双子のフレイとフレイアとか、ソロモン七十二柱のシトリーとか……。
特にシトリーは、軍勢召喚を持ち、俺たちのデッキのメタとなる女性特化のスキルを持つ強カードだったので、かなり迷った。学校の迷宮の方に出ていたらノータイムで運命操作していただろう。
復讐の女神のエリーニュスも、三相女神というところは良かったのだが、そのほかの要素が俺の好みではなかったので、スルー。スキルも他のメンバーへのシナジーがなかったし……さすがに老婆は、ね。
フレイとフレイヤの双子神も、かなり惹かれるものがあったのだが、有効活用には男のフレイの運用も必要だったので、泣く泣く断念。
うーん、さすがにそろそろ出てもおかしくないんだけどなー。俺のデッキと相性が良いか、上位互換となると結構限られてくるし……。
そんなことを考えながら、電車を乗り継ぎ、試練の迷宮へと向かう。
プロ試験の試練の迷宮で指定された迷宮は、モンコロレースでも使われた清土鬼子母神堂ではなく、港区青山にある青山霊園だった。
都内有数の心霊スポットでもある青山霊園の一角にあるゲートをくぐれば……。
「む……これは、当たりなんじゃねえか?」
迷宮に入るなり、蓮華が言った。
「マジ?」
「ああ……少なくとも、三相女神であることは確かだな」
「おお〜!」
これは、ついにいよいよ来たか……!
ユウキを召喚し、斥候へ向かわせる。
やがて、彼女の眼を通して見えたのは————三柱の美しい女神の姿だった。
「う……! く……! これ、は……」
その姿を見た俺は、思わず呻いた。
「どうだった? ……お目当てのだったか?」
「いや……」
蓮華の問いかけに、俺は首を振った。
「違った。あれは、ケルトの三女神だ……」
髪もドレスもマントも、すべてが血のように紅い女神は、ヴァハ。
灰色の髪を靡かせ両手に二本の槍を持った、勇ましくも妖艶な女神は、モリガン。
闇よりも暗い黒髪を持ち、ゾッとするほど美しい女神は、ネヴァン。
アイルランドの、ケルト神話における戦争の女神たちだった。
「セレーネーたちじゃなかったか……で、どうする? 帰るか?」
「いや、戦う」
「お?」
俺の答えに、蓮華は軽く目を見開いた。
「いいのか? お目当てのセレーネーたちじゃないが」
確かに、俺の本来のお目当ては、セレーネーたち月の三相女神だった。
イライザたちのランクアップ先であり、一発で三枚ドロップできるセレーネーたちは、今回の試験における大本命であった。
だが、このヴァハたちも決して悪くない。
というか、出現が予想外であっただけで、セレーネーたちに匹敵する大当たりだ。
まずヴァハは、魔法のスペシャリストであり、強力な男性特化のスキルを持つ。その効果は、敵全体の男を対象に、産みの苦しみと狂乱の呪いを与えるというもの。
産みの苦しみとは、すなわち陣痛と出産の痛みとそれに伴う体力の消耗であり、これだけで大抵の男モンスターは行動不能になる。
さらには、敵モンスターのコントロールを不能にし、敵味方の識別ができなくする狂乱の呪い付きだ。
次のモリガンは、アーサー王伝説のモルガン・ル・フェイとも同一視される女神で、戦士に加護と祝福を与える女神である。そのスキルは、対象一体にレベルアップの魔法を掛け、ステータスを二倍にし、自己再生と状態異常耐性を付与するというもの。また本体自体も優れた戦闘能力を持ち、戦士スキルと高等攻撃魔法スキルを持つ。
最後のネヴァンは、死を告げる妖精であるバンシーとデュラハンの原型であり、アーサー王伝説の泉の貴婦人の前身となった女神である。それ故かネヴァンは、バンシーとデュラハンの眷属召喚能力を持ち、また自身も加護型の高等装備化スキルを持つ。
装備化スキル持ちを眷属召喚できる極めて希少なカードで、また無限召喚型であるためこれ一枚で自軍の大幅強化ができる、超つよつよカードだった。
ぶっちゃけネヴァン一枚だけでも運命操作の使用が確定するレベルなのだが、この三枚が揃うとその価値はさらに飛躍的に跳ね上がる。
この三枚の特殊スキルの名は、破壊と殺戮と勝利の宴。
その効果は、ネヴァンの装備化対象とモリガンの強化対象を全体化し、ヴァハのスキルに陣地破壊効果を追加するというもの。
全体化とはどういうことかと言うと、眷属含めたすべての味方の戦闘力がMAXとなってステータスは二倍、さらにネヴァンの戦闘力とその後天スキルをすべて共有できるということだ。
ネヴァンの眷属召喚能力は装備化スキルに含まれたモノであるため、さすがに召喚された眷属がさらに眷属を召喚するという地獄絵図とはならないものの、どんな雑魚モンスターでもBランク並みの戦闘力にしてしまうという正真正銘のぶっ壊れスキルだ。
当然、敵として出現したならば、これらの効果すべてが牙を剥いてくることになる。
この手のスキルの正攻法は、まともに付き合わずスキルの時間切れまで逃げるか隠れるかするのが一番なのだが、アレース同様どこに籠ろうが、陣地破壊の効果により乗り込んでくる。
眷属召喚で対抗するにも、どんな雑魚カードもBランク並みの戦闘力にしてステータスを二倍にしてくるネヴァンたちには、生半可な眷属召喚では太刀打ちできず、自己再生と状態異常耐性も付与されるため絡め手も効き辛い。
残る手は、眷属召喚そのものを封じること。
つまり…………。
俺が振り返ると、蓮華は不敵な笑みを浮かべた。
————真二相女神の出番というわけだった。
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