第2話 一回百万円のガチャに人生を賭ける

 


 放課後。俺は友人たちからの遊びの誘いを断り八王子駅の冒険者ギルドへとやって来ていた。

 基本的に何の前触れもなくランダムで現れる迷宮群であるが、統計から人口の多い地域ほど迷宮が現れやすいということが判明している。それに対応するために、冒険者ギルドはだいたい駅ビル内に設置されていた。

 特に、大都会東京においてはそこそこ大きな駅には必ずと言っていいほど冒険者ギルドがあった。

 なお、学校の最寄り駅である立川の冒険者ギルドではなく、わざわざ八王子まで足を運んだのは、立川のギルドが南山のホームギルドであるという理由からである。

 こちらの方が自宅も近く、休日に足を運びやすいというのもあった。


 改札を出ると、制服や私服姿の人々に混じってタクティカルベストやミリタリーリュックを背負った、どこか物々しい服装が目につき始めた。

 どこかの大学のサバゲー同好会——ではない。この駅をホームとする冒険者たちだ。

 一目で冒険者とわかる彼らを見る人々の眼は、大きく分けて三つ。無関心、羨望、そして嫌悪である。


 【第二次アンゴルモア】から十年……。二度と起こらないはずであった災厄のもたらした被害は、未だ人々の心に大きな傷跡として残っている。モンスターによる被害を身近に受けた人の中には、ポーションや魔道具といった迷宮の恩恵すらも敬遠する者もいるほどであった。

 その最たるものがモンスターを操るカードであり、それを使って大金を稼いで脚光を浴びている冒険者という存在は、彼らにとって非常に目障りであるようであった。


 ……とは言え世間一般的には、冒険者は憧れの職業である。現に今もジャニーズ系のイケメン冒険者が、数名の女子高生に囲まれて黄色い声を上げられていた。

 一見困った風の彼だが、内心ではまんざらでもないのは傍から見て一目瞭然である。

 女子高生たちに引っ張られるように改札の向かいにある喫茶店に消えていく彼を少しの間羨望の眼で見ていた俺だったが、気を取り直して歩き出した。


 改札を出て一分ほど歩くと、駅に併設された大きな駅ビル——通称ギルドビルが見えてきた。

 数年ほど前に建てられたこのビルは、地下に食料品店、一階に飲食店、二三階が冒険者用品、四階に冒険者ギルド、五階にカードショップ、六階に市役所と冒険者がすべての用事を一か所で済ませられるようになっていた。

 冒険者ギルドと市役所が同じ建物にあることについて、ダンジョンヘイトたち——迷宮嫌いの中でもとりわけ声のデカい連中——から当然クレームがあったそうなのだが、市はこれを跳ね除け続けている。

 強気の理由の一端に、この八王子駅が有事の際の避難所に指定されているからというのがあった。

 多少のクレームがあろうとも、いざという時の安全には代えられない……ということなのだろう。






「ようこそ、東京都冒険者協同組合へ。本日はどういったご用件でしょうか」


 四階に上がると、扉付近で手持ち無沙汰に立っていた男性の職員が笑顔で話しかけてきた。


「えと、冒険者登録に……」

「かしこまりました。あちらから四番窓口の整理券をお取りください」

「あ、はい」


 椅子に座って待つ間、必要書類や現金の確認をしていると、ほんの数分ほどで俺の番号札が呼ばれた。


「こんにちは、本日はどういったご用件でしょうか」

「こんにちは、えっとですね、冒険者登録をしたいのですが」

「冒険者登録ですね。登録にあたり、登録料十万円とランクD以上のカード、現住所の確認できる身分証と、未成年者の方の場合は保護者の方の同意書等の書類が必要となりますが、本日お持ちでしょうか」

「カード以外はすべて持ってます」

「その場合ですと、上の階でカードを購入していただく形となります。冒険者以外の方がカードを購入する場合、職員の同行が必要となりますがよろしいでしょうか」


 事前にネットで調べていた通りの流れだ。俺は小さく頷いた。


「かしこまりました。それでは担当の者を呼びますので少々お待ちください」

「わかりました」


 俺が頷くと女性職員は手慣れた様子で電話をかけ始めた。すると、受話器を置いて十秒もしないうちに、奥のデスクから一人の中年男性が笑みを浮かべてやってきた。


「初めまして、重野と申します。カードの購入手伝いをさせていただいております。よろしくお願いいたします」

「あ、はい。よろしくお願いいたします」

「それでは五階に案内させていただきます」


 重野さんの後をついていく形でギルド奥にある階段を上がっていく。

 このビルの5階にはエレベーターもエスカレーターを通じておらず、こうして冒険者ギルド内の階段を上がらなければ行くことが出来ない。

 階段の前には防弾チョッキを身につけた警備員も立っており、一般人は立ち入ることもできない形となっていた。

 どこか静かで落ち着いた雰囲気だった四階と異なり、五階は多くの冒険者で騒がしいほど賑わっていた。

 雰囲気としてはトレーディングカードのお店に近い。店内にはカードのコピーが張られたボードが何個も立っており、それを冒険者たちが食い入るように見つめていた。

 重野さんはそんな冒険者たちの隙間を縫うようにすいすいと進んでいく。俺はその光景に好奇心を惹かれつつもはぐれない様に重野さんが空けてくれた空間を利用してその背中を追った。


「すみません、登録希望者の案内のためブースをお借りしたいのですが」


 カウンターまで着いた重野さんが空いている職員を捕まえそう言うと、俺たちは薄い壁と観葉植物に遮られたスペースへと案内された。


「どうぞおかけください」

「あ、はい」

「えー、まずはお名前をお伺いしてもよろしいですか?」

「北川歌麿と申します」

「北川さんですね。あらためまして重野と申します。えー、今回北川さんは初のカード購入ということで軽く説明をさせていただきます」

「よろしくお願いします」

「はい。えー、まずご存知かと思われますがカードは迷宮内に存在するモンスターを閉じ込めたものです。冒険者はこのカードを具現化することで迷宮内のモンスターと戦っていくことになります。ではいつでもカードからモンスターを呼び出せるのかというとそうではなく、カードは迷宮内や特殊な魔道具を使用した空間、またアンゴルモアのような非常事態のみ具現化することができます。ここまではよろしいですか?」

「はい」


 俺が頷くと重野さんは小さく笑った後、顔を引き締めた。


「ここからは少し重要なお話となります。まずカードから呼び出されたモンスターですが、使用者……以降マスターと呼ばせていただきますが、マスターに危害を加えることはできません。これは、悪意のないじゃれつきやマスターに危害が加わるのを見逃すといった行為も含めたものですのでご安心ください。そもそもマスターは自身へのダメージをカードに流すことができますので、カードがあるうちはマスターの身の安全は保障されています。……が、だからといってカードがマスターに絶対服従なのかといえば決してそうではありません」

「え、そうなのですか?」


 思わぬ新情報に俺は思わず聞き返した。

 TVで見るカードはすべてマスターに従順なものだったので、無意識にカードは自分の想いのままだと思い込んでいた。


「はい。カードは同じ種族でもかなり個体差があるようで大人しいものから反抗心の強いものまで性格は人間同様千差万別です。使っていくうちにどんどん従順になるものもいれば、逆に命令を聞かなくなっていくものもおります。最悪、自衛以外の一切の戦闘を放棄する個体まで確認されています。カードには所有権というものがあり、これを放棄することで強化レベルや記憶をリセットして誰でも使えるようにすることできるのですが、リセットした後もカードの人格はそのまま引き継がれます。相性の悪い所有者に使われていた中古カードの中にはどうしようもなく反抗的になっているカードもあり、そう言ったカードを掴まされたマスターのトラブルも少なくありません」

「なるほど……」


 重野さんの説明に俺は腕を組んで唸った。

 カードには個性というか性格が色々あるというのは聞いていた。ネットには「俺のツンデレヴァンパイアちゃんが可愛すぎて毎日貧血な件」とか「うちの猫又ちゃんが気まぐれ過ぎて辛い」なんてスレがいくつも立っているからだ。

 だが、実際は思っていた以上にカードの性格というのは重要な話らしい。


「一つ質問なんですけど、そう言ったすごく反抗的なカードはどうするんですか? 買っても使えないわけですよね?」

「どうもしません、いくらか値段を下げて売っております。のちほど説明させていただきますが、そういったカードにも十分使い道があるということはご理解ください」

「わかりました」

「それでは次はカードの様々な機能について説明させていただきます」


 ————数十分後。


「これにて一通りの説明は以上です。わからないことがあればいつでも窓口の方へお聞きにいらっしゃってください」

「……ありがとうございました」


 カードの詳しい機能についての説明や冒険者の義務と権利といったいろいろな説明を聞き終え、俺は重野さんへと頭を下げた。

 学校の授業などよりよほど濃密な講義だったが、不思議とすんなりと頭へ入ってきた。自分の興味のある内容だったからだろうか、心地よい頭の熱さにぼうっとしていると。


「さて、お待たせしました。それではカードの購入の方に移らせていただきます」

「ッ!!」


 そんな重野さんの言葉でハッと我に返った。

 ドクドクと鼓動が早くなっていくのを感じる。喉の渇きに唾を飲み込み、俺は頷いた。


「は、はい。よろしくお願いします」

「そんなに緊張なさらずとも結構ですよ。こちらがDランクのカードのリストになります。最低価格が百万円からとなっていますが、ご予算の方は大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です……」


 俺は震える声でそういうと、鞄から封筒に入った百万円を取り出した。

 ガキの頃から貯めたお年玉と、バイトで稼いだ汗と涙の結晶だった。

 重野さんはそれをちらりと見ると金額を確認することもなく、バインダーを取り出した。


「お会計はまた後程でよろしいですよ。それではごゆっくりご希望のカードをお選びください」


 そう言って、重野さんはしずかに待ち始めた。

 それを横目にバインダーのリストに目を通し始めた俺だったが……。


(やっぱ人気のカードはどれも高いな……。特に女の子カードはどれも500万以上……。百万で買えるのは……オークとかグールみたいな不人気カードばっかりか)


 俺は一瞬だけ目を閉じ、そして覚悟を決めた。

 これからの数分でここ数か月の努力が水の泡になるかもしれない。

 だがそれでも俺は勝負に出ると決めたのだ。


「あの」

「はい? 決まりましたか?」

「いえ、カードなんですけど、百万円のカードパックというのがあるとお聞きしたんですが」


 俺のこの言葉に重野さんははっきりと眉を顰めた。


「……確かにこちらでは十枚のカードをまとめたカードパックを販売しておりますが」

「そちらを購入したいと考えているんですが」

「あー……」


 重野さんはどう言ったものかという感じで数秒言い淀み。


「北川さん、カードパックについてなのですが恐らく勘違いをなされているかと思われます」

「勘違いですか?」

「はい、おそらく北川さんはネットなどにカードパックを買ったらレアカードが出たといったのを書かれているのを眼にしておっしゃっておられると思うのですが」

「はい」

「確かにパックには最高Bランクのカードも入っております。ただしそれは極めて低確率で入っているいわば宝くじの一等のようなものです。この店舗のパックに入っているとも限りません。Cランクのカードにしたって一パックに入っている確率は1%以下。Dランクも一パックにつき30%程度です。確実に元手が取れるというものではないんです」

「1%以下……」

「はい。今回北川さんは初登録ですよね? 予算もおそらくパック一回分のみ。もしDランクのカードが出なかった場合、登録が出来なくなる形となります。パックは冒険者の方が買うのを想定しているので、北川さんのような新規の方が買うことを想定した割合にはなっていないんです」

「……大丈夫です。全部知ってきています」


 俺が静かにそう言うと、重野さんは本当に困ったという風に目じりを下げた。


「……北川さん、こちらのお金はご自身で働いてお貯めになったものですか?」


 突然の話題の変化に俺は少しキョトンとしつつ答えた。


「あ、はい。そうです」


 俺の言葉に重野さんはしみじみと頷いた。


「学生でこれだけ稼ぐのは本当に大変だったでしょう。私も高校時代はよくアルバイトをしていたのでよくわかります。……これはここだけの話にしてほしいのですが」

「はい……」

「当店で扱うカードは、すべて冒険者の方々から買い取ったカードとなっております。そのうち癖のない性格や使いやすいスキルを持つカードは、しかるべき値段をつけて店頭に並べることになります。そして店頭に並べてもあまり買い手がつかなそうなカードは……」


 ……こうしてパックに入れて釣り餌にする、ということか。

 Cランクカードの価格は一千万から一億。Bランクともなれば最高百億近い値が付くこともあるという。一般人や駆け出しの冒険者にとって、想像もできない世界。

 それがもしかしたら百万で手に入るとなれば……釣り餌としては十分だろう。

 俺は重野さんに深々と頭を下げた。


「ありがとうございます。でも、決めてきたことですから」

「……かしこまりました。それではパックの方をお持ちします」


 重野さんは一分ほど俺をじっと見つめていたが、やがて小さくため息を吐くとそう言って席を立った。


「…………ふぅぅぅ」


 背もたれに身を預け、一人天井を見つめる。

 もう、後戻りはできない。

 だが、冒険者になったとしても最底辺のDランクカードじゃあ意味がないのだ。

 Cランク、あるいはDランクの女の子カード。それが俺の求める最低条件。

 それが手に入らないなら、どれも同じことだった。


「お待たせしました。こちらがカードパックになります」


 そう言って重野さんが持ってきたのはコンビニに置かれていそうなカードパックセットだった。

 トレーディングカードと違うのは、煌びやかなイラストは一切なく、完全黒塗りのパックに入っていることだろうか。それが五十センチ四方の箱にみっしりと詰まっている。

 これが、一パック百万円のカードパック……。

 思わず唾を飲み込む。


「どうぞどれでも一パックお好きに手を取ってください。いくらでも時間をかけて構いませんよ」

「ありがとうございます」


 頭を下げ、じっとパックを見つめてみる。当然ながら中は全く見えない。

 この中に、三割でDランク、1%の確率でCランクが入っている。つまり七割の確率で俺の百万はゴミになるということだ。


「………………………………」


 この数か月のアルバイトの日々が頭に過る。

 平日はスーパーで、土日は引っ越しのバイトで休みなく働き続けた。初めてのバイトだったので、最初の一か月は毎日のように怒られ続けた。嫌味な先輩に目を付けられ、嘘の仕事を教えられて店長に滅茶苦茶怒られたこともある。あの時は、歯を食いしばり過ぎて歯ぐきから血が出た。家に帰って泣いたこともある。重い物を運ぶことも多かったから、毎日終わったら飯食って風呂入ったら気絶するように眠る日々だった。


 親の説得も大変だった。身の安全の心配。学業への影響。費用の問題。ネットでいろんな情報を調べては親に見せ、成績のキープを約束し、費用に関してはこうして自分で稼いで、ようやく先日許可を取り付けた。


 そんな努力が、七割でパー。


 また百万貯めるのにどれくらいかかるだろうか。今度はお年玉も貯金もない。放課後毎日働き続けて給料は約十万。単純計算で約十ヵ月。シフトの都合もあるから毎日は入れないし、精神的に続かない。一年は見るべきだろう。それでも、その次もダメだったらまた一年頑張るのか?


 無理だ。高校生活は三年しかない。それをすべてバイトに費やすことになる。本末転倒。


 ……ならこれがダメならスパッとあきらめた方がいい。

 いや、むしろそれがいい。この一回にすべてを賭ける。駄目なら残りの学校生活を、分不相応な願いは持たず静かに過ごす。だがもしDランク以上のカードが出たなら……。


 心臓が、痛い。喉はからっからに渇いて、唾を飲み込むだけでヒリヒリする。汗をびっしょりと掻いた身体が寒い。指先がプルプルと震えて力がなんとも入り辛かった。

 ブースの外の喧騒がスーッと遠のいていく。怖い。まるで宇宙空間にいるように身体がふわふわとしている。

 初めて知った。自分が必死にしてきた努力が試される瞬間っていうのは、こんなに怖いのか。

 運動部とか、テスト学年上位の奴らは試合や試験でこんな感覚がしてるんだろうか。やべぇ、野球部の高橋への尊敬の念が芽生えそうだ。

 深呼吸をする。1、2、3、4、5、6……吐いて、1、2、3、4、5、6、7、8、9……吸う。


 よし、引こう。


 指先は、箱の右隅っこの方へと自然と伸ばされていった。右端から三列目、奥から二番目のパックに、吸い寄せられるように手が伸びていく。引っかかりもなく、スッと抜けて少し気分が良かった。


「これにします」

「よろしいですか?」

「はい」


 俺が頷くと、重野さんは手でうながした。


「それではご開封ください」


 ピリ、とパックの端を破る。

 一枚目、ゴブリン、Fランク。二枚目、コボルト、Eランク。三枚目……クーシー、————Dランク!

 喜びと、落胆が同時に心を襲った。

 とりあえず三割の壁は破った。少なくともこれで冒険者登録はできる。だが、これじゃあ意味がない。これじゃあ……。

 しかもこの段階でDランクカードが出たということは残りのカードにレアカードが入っている確率はグッと落ちる。


 つまり、俺は賭けに半分負けたのだ。


 グッと唇を噛みしめ、残りのカードをめくっていく。

 四枚目、スケルトン、Fランク。五枚目、またもゴブリン。六枚目、ゾンビ、Eランク。七枚目、ローパー、Fランク。八枚目————。


「あっ!」


 グール……Dランクカード。それも、描かれているイラストは女のものだった。

 二十歳くらいの豊満な身体つきをした金髪ロングのグール。それだけ聞くと魅力的な女性にも思えるが、肌は黒紫に変色し、眼は白目が見ないほど赤く充血、大きく開けられた口元から垂れる涎には何の知性もうかがえなかった。

 とてもではないが萌えなど微塵も感じない有り様だ。


「はは……」


 自嘲の笑みが零れる。確かに、望み通りDランク……それも女の子のカードが来た。だが、コレジャナイ感がすごい。

 でもまぁ、ある意味では俺にお似合いのカードなのかもな……。

 そもそも可愛い女の子のカードか、安くても一千万のCランクが欲しいなんて、高望みにも程があるってもんだ。

 考えてみれば一パックで二枚もDランクが来たのだ。十分に俺はツイてるといえる。

 ならこれで良しとするか。

 そんなことを考えながら残り二枚のカードを無造作にめくり——。


「…………ぁ、え?」


 ——我が目を疑った。

 一枚は、何の変哲もないゴブリンのカードだ。だがもう一枚。そこに描かれていたのは、まぎれもなく和服姿の少女の姿だった。

 本来綺麗に切り揃えられているはずの黒髪はパンキッシュに跳ねまくっているし、片足をボール(たぶん鞠だろう)に乗せ、中指を立ててこちらを睨んでいるその姿はなぜか異様にガラが悪いが……間違いない。


 ————座敷童。ランクCの女の子カードだった。



【Tips】モンスターカード

 迷宮内で稀にモンスターが落とす謎のカード。モンスターたちを描いたイラストが描かれており、マスター登録をすることで自在にモンスターをカードから呼び出せるようになる。モンスターを呼び出している間、マスターへのダメージはすべてカードが肩代わりしてくれるため、迷宮攻略には欠かせないアイテムとなっている。モンスターは基本的にマスターの命令を聞いてくれるが、感情がある為嫌われると言うことを聞かなくなる。

 弱いカードほどドロップ率が高く安価で、強いカードほどドロップ率が低く高価。

 そして女の子カードは基本的に、需要の関係からどれも高額で取引されている。


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