第2章 変転

第23話 知らせ

朝早くに起きるのが辛くなくなったのは、いつからだろうか。


少なくとも大学生の頃は、まだ眠い目をこすり

やっとの思いで起きていた気がする。


歳を重ねる度に夜遅くまで起きている時間は減っていき、

今では日付が変わる前には眠るようになった。

もちろん、遅くまで残業している日を除いての話だが。


早く寝れば、その分早く起きるようになり、

火月の起床時間は決まって朝の五時になっていた。


いつも通り目覚まし時計が鳴る五分前に目が覚める。

ベッドからサイドテーブルに手を伸ばし外していた眼鏡を探す。


時計のアラームの設定をオフにすると、むくりと起き上がった。


洗面所で顔を洗いキッチンへ向かう。


朝食らしい朝食はここ数年口にしていなかったが、

一応健康?を気にしてヨーグルトだけは毎日食べるようにしていた。


インスタントコーヒーを作るために電気ケトルに水を入れてお湯を沸かす。

数か月前に電気ケトルを人生で初めて買ってみたが、

ものの数分でお湯が沸くので重宝していた。


ちなみにコーヒーには必ず牛乳を七:三の比率で混ぜるのが中道流だ。


マグカップを右手にリビングへ移動すると、

左手でテレビのリモコンのスイッチを入れる。


ちょうど天気予報がやっていて、どうやら今日は一日中晴れ模様とのこと。


出勤までにはまだ時間があるので

洗濯機を回し洗濯物を干しておこうと考えていると、

テーブルの上に置いてあったスマホがブルブルと震えていることに気づいた。


画面を確認すると『新着メール 一件あり』と表示されていて、

送り主は水樹さんからのようだった。


メールを開き、本文に目を通す。


仕事終わりにお店に寄って欲しいとのことで、

おそらく例の怪物の件だろうと推測する。


あの鶏を引き渡してから、ちょうど一週間が経とうとしていた。

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