第14話 カフェ&バー

三十分ほど電車を乗り継いで、最寄り駅の数駅手前のターミナル駅で下車する。

終電が近いにも関わらず、構内はそれなりの人で賑わっていた。


電車を初めて見たのか、後ろの方で「おお…」と感嘆の声を上げたり、

「この動く鉄の生き物は何なのだ?」と自分に向かって話しかけてくる鶏がいたが、全て無視していた。


怪物は基本的に一般人が認識できない存在なので、

こいつと話をすること=『独り言を喋っている変な奴』

と周囲にレッテルを貼られるリスクがあるからだ。


改札を抜けると、道路に面して飲食店や居酒屋が軒を連ねており、

近くを通るだけでも店内が盛り上がっている様子が窺えた。


さらに歩みを進めると、路地の一角に地下へと続く階段が見えてくる。

地上には

『カフェ&バー アタルデセル』

と書いてあるイーゼル看板が立ててあった。


階段を下りていくと『準備中』のプレートが扉の前に掛けてあるのが目に入る。


今日は先約がいるのかと思ったが、火月自身も直ぐに用事を済ませたかったので、

そのままドアの扉を開け、店内に足を踏み入れた。

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