第29話 ピロートーク弐

── あは、うん・・・そう


── そうって お前


── だってココは柚木しかいないじゃん


── 俺は男だし、お前も男で


── それって関係ある?


── そこ、お前は気にしないトコなのか?


── 全然!


── 所謂いわゆるじゃないと・・・


── 人として好きになることにとかとかあるの?


── それは・・・


── 隣が居心地いい、そばにいたい、だから誰にも邪魔されたくない。普通でしょ


── ・・・お前って、、本当に面白い奴だな


── 面白いって〰〰


── どストレートだ


── そう?でも本当のことだもん


── だもんって、あのな(笑)



何だかくすぐったい・・・。

誰かから真っ直ぐな好意を向けられたことなんて初めてなんだよ俺は。

お前ほどこなれていないんだ。。



── なぁ柚木(マジ声)


── なんだ?(ぽかん)


ごそごそ(シーツの上を這う)

ピカッ(スマホの電源ボタンを両手で押す)

ぺちぺち(柚木の顔を探してる)


ふわっとスマホ画面の灯りに照らされ、枕に頬をつけてこちらを向いている柚木の顔が浮かび上がる。


少し戸惑うような、次の展開を何ひとつ分かっていない無垢な子供のような。

可愛いなぁ〜。



俺はシーツの上に立つと、背伸びをして柚木の右の瞼にキスをした。

柚木は気持ちよさそうに目をつむる。


次は左の瞼にキス。

スマホの光を眩しそうに目をあけた柚木の鼻に俺の鼻をこすりつけて、鼻先にもキス。


「くすぐったい・・・」


「柚木、いいから、しぃっ・・・黙って」



スマホがまたスリーブになった。

灯りがふっと消えた。


俺は柚木の唇にキスした。

上唇に、下唇に、両方の口角に。

本当はもっとちゃんと、ちゃんとしたいけれど今はこれで我慢。

俺は柚木の首筋にしがみつくように抱きついた。


「柚木、ありがとう。柚木が好きだ」


「きざ・・・・・・」


「俺、柚木が大好きだ。俺のこと今すぐどうこうしてなんて思ってない。

でもこれからの俺をみててほしいんだ」


「・・・城崎・・・」


「俺、元に戻れるかな。いや、戻るぞ。こうなったのにはきっと何か意味があるんだと思うんだ」


「城崎・・・」


「柚木にちゃんと向き合える男になるよ。その時、俺にもう一度告白させて」


「・・・その時なんて、必要いらない」


「えっ(衝撃)・・・俺、努力も希望ももってちゃだめ?」


「俺の返事は ── もう決めてるからだ」

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