第26話 思い伝われ

「───── 欲しいのか?」


( ◦д⊙)ギャーーーーッ


柚木の口からなんて大胆なことを!!


・・・ほ・・・・・・欲しいです、その、あの、その・・・・・・・・・♡


「アイス、な?」


「あっ?──── ァィス・・・アイス・・・愛す、じゃない ・・・はい、食べる💧」


柚木はくすっと笑って、新しいアイスを冷蔵庫に取りにいくのと思っていたら。

さっきまで自分が舐めていたところをポキッとかじりとって


「ほら、ここは口つけてないから」と差し出す。


ぃゃぁ・・・舐めてたとこがいいんだけどなぁ、、これも間接キスになるかんじ?

うっひょ〜(*´﹃`*)♡照れるな♡


柚木はアイスを差し出しながら不思議そうな顔をして俺を見ている。

俺は口を両手で押さえて、ハッと気づく。


「えっ!?俺もしかして今、何か言ってた?!」


「んー?よく分からんが、ナメテイタがなんとか、カンセツがなんとか・・?」


ガーン( “˙_˙”;)

モロに口から出てるじゃん、、俺、情けなさすぎ・・・。

テーブルの上で脱力・・・・・・||li_| ̄|○ il||


落ち込んでたら柚木がクスクス笑って、


「おかしな奴だな」と頭をなでてくれた。

カッコ悪すぎて涙目のまんま柚木を見上げる。

柚木は首を傾げて俺の顔をのぞきこむようにすぅっと近づいてきた。


とたんに俺。

胸がキューっとなった俺、目の前の柚木の頬に両腕を広げて抱きついた。

すべすべの白い頬に自分の顔を押し付けると、柚木はちょっとびっくりしたみたいだったが俺の背中を右の手のひらで優しく包んでくれた。


ああ、俺、本当にこいつのことが好きになっちゃったみたいだ。

優しくて強くて、でも強がりで寂しがりで。

数えきれないくらいの可愛さをもっている柚木。

もう誰にもこいつを渡したくない、こんな感情ははじめて、かも。


どうにも離れたくなくて、顔を見られるのが恥ずかしくて、ぎゅぅっと頬に抱きついたまま俺は唇を柚木の頬に押しつけた。

何度も、何度も ──── 。



どーした?城崎?

何か意味不明のことを口走って、赤くなったり青くなったり白くなったり。


挙げ句、俯いてしまった城崎の顔を見たくなって顔を近づけると。


ん?あれ。こいつ耳まで真っ赤だ。

学校のお前と全然違うじゃないか。

なんでそんな可愛いんだよ、と目を細めてたらパッと両手を広げて俺の右の頬に抱きついてきた。


こいつ、なんてやつ、小さいこいつのやることなすこと、可愛いすぎだろ!


俺は城崎の背中をそっと撫でてみる。

可愛くて可愛くて仕方ない。

すると、ふと頬に温かいものが触れて。

それが城崎の唇だとわかったとき、俺の胸の奥底で小さく音楽が鳴ったような気がした。


生まれて初めて聴いた音楽が、耳からじゃない。

じかに心の中に、確かに聴こえた。


それが一体なんなのかわからなかったけれど。

心地よい音の重なり、和音、鼓動のような体内に届くような音が響いたことを。


俺はこの特別な感覚を、

一生覚えておこうと思った。

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