第21話 王子ぶっ倒れる
ガタッッ!!
キッチンのシンクに掴まろうとして掴めずそのまま足元から掬われるように崩れ落ちた。
あの日と同じだ。
教室で ──── 真っすぐ立っていらんなくて、ぐらぐらして。
ガタンッッ!!
窓を開けて風を入れていた俺は背後から聞こえてきたモノ同士がぶつかる大きな音に振り返った。
キッチンで立っていた城崎の後ろ姿が糸の切れた人形のようにふらついたかと思うと俺の目線から消えた。
倒れた?!おい待てよ!
慌ててキッチンへ戻ると・・・。
「おいっ城崎・・・・・・!!・・・きざ・・・!!」
「~~~うーーーーー・・・いってぇ・・・」
「ぁ ─── きっ・・き・・ざき・お前・・・お前っ・・・!」
「ってぇなぁもうー、カッコわりい。また転んだよ。って・・・・・・ぇえ・・・・・・ええぇっっっっ!!?」
(城)俺ってば、またちっこくなっちまった。
今夜はキメるはずだったのにどうしてぇ!!?
(柚)ぷっ・・・て、手のひらサイズに戻ってる・・・困った顔が可愛い・・・可哀想だが、少し嬉しい・・・
涙が滲むほど笑いをこらえて声をかけるが、どうしても声が震える俺。
「城崎、どこも(クスッ)痛くないのか?(クッ、クゥゥゥ)」
「痛くないけどー!けれどー?なんで柚木笑ってんのさぁー?!」
「すまん・・・(笑)だってお前、ちっこくて・・・か、可愛いかも」
「むっきー!!ちっこくてって言うなよー(じたばた)」
俺は柚木が差し出した手のひらにすたすた乗って地団駄踏んで抗議した。
けれど柚木は涙をためた目で笑っている。
プック〰〰と膨れていたら、ごめんごめん、と頭をなでられた。
「でも、城崎に怪我がなくて安心した」
「うん、柚木と一緒のときで助かった。ありがとうな」
縮むのも2回目だから前ほど驚かない。
理解してくれる柚木が傍にいてくれたし、ラッキーだった。
それにしても、柚木ってば嬉しそうな顔をしてらぁ。
落ち着いたら二人の腹が派手になった。
そうだ、晩メシ作ってる途中だったじゃん。
「「 腹減った! 」」
食器を出して柚木が夕食の準備する。
俺は布団みたいにデカい布巾でテーブルをよいしょよいしょと拭く。
ハンバーグもサラダでかい。(だよなぁ)
俺はコンビニで貰った小さいプラスチックのスプーンとフォークでメシを食った。
行儀悪いけどテーブルの上で。
目の前にいる柚木も「旨いよ、城崎」と言い、俺の口に小さく切ったトマトを入れてくれたので、俺はすっかり機嫌が直っちゃった。
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