第15話 マジ可愛いです

───── びっくりした。


ごめんとか、まさか柚木の口からそんなこと言われるなんて。

それに、こいつめちゃくちゃ勘違いしている。



「俺は不愛想だし、いつも怒っているのかとか怖いとか言われるし。だから城崎にも嫌われているのかと、ずっと」


「んなわけないじゃん!確かに今までは口喧嘩が少し多かったかもしれないけどさ」


かもしれないけど、さ。


俺もずっと柚木を思い違いをしていたんだ。

強がりで怒りっぽい態度が目に付いてたけれど、それは他人に弱みを見せたくなかったんだろう。

そうしないといけない程に、辛い目にあったことがあったのかもしれないよな。


「柚木は昨日俺を助けてくれたじゃん。ヤな奴の俺を迷いもしないでこの部屋に連れてきてくれた。俺こそ嫌われてると思っていたからすげえ嬉しかった」


おまえみたいに優しい奴いないよ、サンキューっていったら、やっと顔を上げて泣きそうな目をして小さく笑った。



なんて大人だ。

城崎はとんでもなく大人だ。

俺のこと嫌ってるって吐き捨てられても仕方ないと思っていたのに。

俺を責めるどころか感謝してるなんて言えるのか。

こいつの目は物事の上っ面だけを見ているんじゃなかった。

俺の、誰にも見せたことのない俺の内面まで見てくれているんだろうか。



柚木は強気で固めた殻の下に限りない優しさを秘めていた。

自分を顧みないで俺を助けてくれた強さと温かさを隠していた。

それを知ってしまった俺は、昨日までの突っ張った態度やキっツい言葉さえ可愛く見えちゃうんだ。


─── ぅ!?!可愛いってなんだよ!



あれ・・・あれれ、可愛い・・・・・・。

目の前の柚木は耳から胸元まで真っ赤になって俺から目をそらしている。

マジで可愛いすぎるだろう。


街や教室で絡んでくる女子たちとは別次元。

清純み、すら感じる。


巷に溢れてる横並びの〝 カワイイ 〟を武器にガッツガツ押してくる女子しか知らなかった俺に、今の柚木は未知の超ドストライク。

なんだこの天然の破壊力は。


俺の中の何かがガラガラと崩れる・・・、いやブワッと生まれた。


俺、完全にハマりました。

ヤバいわ。

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